田中一村の絵もとに詩作成

田中一村の絵画鑑賞教室に参加した龍郷町立龍郷小学校の児童ら

個性豊かな発表の数々
龍郷小に学芸専門員派遣

 県奄美パーク、田中一村記念美術館は9日、龍郷町立龍郷小学校(末松雅之校長・児童数24人)で田中一村の生涯や作品について学ぶ鑑賞教室を行った。講師は同館学芸専門員の有川幸輝さん(46)。児童らは、田中一村の絵画(複製画)を実際に鑑賞し、作品から連想するイメージを文章にまとめ発表。個性豊かな文章の数々に、教室からは次々と歓声が沸き起こった。

 同教室は奄美パーク開園20周年記念・田中一村記念美術館学芸専門員派遣授業事業の一環。記念事業では各学校で出前授業を行うほか、美術講演会や、常設展の作品数を増やす取り組みなどが行われる予定。

 鑑賞教室に参加したのは同小5・6年生の9人。冒頭、有川さんはスライドで田中一村の生涯や、絵画「初夏の海に赤翡翠=アカショウビン=」について説明。複製画を児童らに鑑賞してもらい、「田中一村さんの絵から詩(うた)を作ろう」というテーマで自由に物語や詩を書いてもらった。児童らは「(アカショウビンは)きょろきょろし過ぎてキョロロンと鳴くようになった」「ハマユウもアカショウビンみたいに目立ちたい」「アカショウビンは森の神様」など、思い思いに詩を発表。個性豊かな作品の数々に教室中から喝采が起こった。

 鑑賞教室に参加した丸田聖愛星=のえる=さん(11)は「たくさんの植物の名前が知れた。『この植物はこんな気持ちなのかな』と考えるのが楽しかった」と話した。

 講師の有川さんは「子どもたちの新しい絵の見方を改めて感じた。一人ひとりの個性の素晴らしさを認識した。今後も要望があればぜひ学校を回り、鑑賞教室を行いたい」とにこやかに語った。