6月定例県議会は23日、代表質問があり、自民党の小幡興太郎議員=出水市区=、県民連合の上山貞茂議員=鹿児島市・鹿児島郡区=が行った。IUCN(国際自然保護連合)の登録勧告を受けて、来月、オンラインでユネスコ世界遺産委員会が開催され、正式に「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(奄美・沖縄)が世界自然遺産に登録される見通しだが、この機会を捉えて国内外に奄美の自然や文化の素晴らしさを情報発信するとともに、記念式典やシンポジウム開催計画などが説明された。
来月の世界遺産委について塩田康一知事は「長年にわたって積み重ねた登録までの取り組みが実を結ぶ最終段階」との認識を示し、「国や関係機関との連携をさらに図りながら勧告通り登録されるよう万全を期したい」と決意を語った。
登録を契機とした今年度の取り組みは松下正環境林務部長が答弁。「世界自然遺産の登録情報を発信する絶好の機会」とした上で、▽世界遺産委のホームページから英語等で配信される審議の模様について本県において同時通訳を行い、インターネットで広く配信を行う▽登録決定時にはポスター、横断幕、のぼり旗の県有施設等への掲示や、首都圏の空港、駅等への掲示のほか、旅行雑誌等への掲載―など奄美の世界自然遺産登録を広く周知していくと説明。さらに10~11月にかけて奄美大島、徳之島で登録記念式典の開催を予定しているほか、県内外で実施されるイベントへの出展などさまざまな機会を通じ情報発信していく。
自然環境の保全と利用の両立、地域住民の意識の継続的な向上を図るための取り組みに関する質問もあった。松下部長は「保護上重要な地域である奄美大島の金作原で利用ルールを運用しているほか、奄美市道三太郎線、スタル俣線周辺での利用ルールづくりに取り組んでいる。活用では自然観察の場として奄美自然観察の森整備、世界自然遺産奄美トレイル整備を進め利用の分散を図っている」と報告。意識継続については「鹿児島市、奄美大島、徳之島でシンポジウムを開催するなど希少野生動植物の保護のための盗採防止キャンペーンや外来種企画展を開催するなど奄美の素晴らしい自然を次の世代に継承する機運の醸成を図る」と述べた。
新型コロナウイルス感染症対策では、4月以降の状況やワクチン接種状況などが取り上げられた。谷口浩一・くらし保健福祉部長の答弁によると、新規感染者数は6月17日時点で1791人となっており、年齢構成は20歳未満14・8%、20~50歳代63・4%、60歳代以上21・8%となり、20~50歳代が6割以上を占めている。入院患者数は同日時点で合計869人だが、年齢別は20歳未満6・9%、20~50歳代53・5%、60歳代以上39・6%となり、入院でも20~50歳代が半数以上を占める。
病床使用率は4月以降上昇し、5月15日の60・6%を最高にその後徐々に低下、6月21日時点では13・8%となっている。4月以降の変異株は6月18日までにスクリーニング検査を1229例実施したところ陽性数は926例で、直近の陽性率は9割を超えている。
今後の円滑なワクチン接種の実施に向けた課題について谷口部長は「高齢者接種に加え64歳以下の接種、広域接種が同時期に進むことでさまざまな実施主体により推進されているが、接種記録を正確に行うことが重要」と述べ、市町村に対しさまざまな実施主体との円滑な情報連携を図るために、必要な接種券の早期発送を依頼したとした。