高校生に大学授業オンラインで

鹿児島大学理学部の授業をオンラインで体験する生徒たち

鹿大理学部、大島高校で11人受講
高度な教育・研究触れる機会を提供

 鹿児島大学理学部は、高校と大学の学びを円滑につなげる「高大接続」の新たな取り組みとして、24日から高校生向けに「鹿児島大学理学部体験授業」を始めた。今年度は県立の国分高校(霧島市)、大島高校(奄美市)を受講モデル校として、同校から推薦のあった高校生が、理学部1年生向けの専門教育科目を大学生と一緒にオンラインで受講する。

 高校生に大学における高度な教育・研究に触れる機会を提供することにより、高校生の個々の能力や適性の伸張を図るとともに、大学に対する理解を深めてもらうことが目的。

 同大理学部は6月22日に両校と連携協定を結んでおり、高校生が大学生向けのリモート講義を受け、単位を先取りできる事業を試験的に始める。今回の体験授業はそのテスト企画にあたり、次年度から単位認定を行う。大学の単位の先取り履修事業は県内初の取り組みとなっている。

 大島高校では2年生4人、3年生7人の計11人が受講。それぞれが興味ある1科目を選択して受講した。今回の開講科目は5科目で、それぞれの受講者数は▽カードシャッフルの数学(数理情報科学プログラム)=2人▽ファインマンの力学(物理・宇宙プログラム)=2人▽ホタルはなぜ光る?酵素タンパク質の化学(化学プログラム)=1人▽遺伝子研究の歴史と応用(生物学プログラム)=5人▽地震災害の科学(地球科学プログラム)=1人―となった。受講期間は24日~8月20日の間の各7回となる。初回と最終回のみリアルタイム配信(生物学プログラムのみ最終回もオンデマンド)、その他はオンデマンドでYoutube配信となり、自宅で好きなタイミングで受講する。講座終了後にはレポートを提出する。意欲の高い生徒が集まり、大学側も喜んでいるという。

 大島高校では初日24日のみ学校のパソコン教室に集まって受講。午前中は数理情報科学プログラムと生物学プログラムの授業があり、7人が緊張した表情で、各自が選んだ科目に臨んだ。大島高校は現在45分授業だが、大学は90分、この長さも初体験となる。ときおりメモをとりながら、集中して受講していた。

 数理情報科学プログラムを受講した窪田志穏さん(3年)は「志望校が鹿児島大で、オープンキャンパスに行けていないので、授業の雰囲気を体験したいと思って参加した。最初は不安や緊張もあったが、もっと博士っぽいと思っていた先生の雰囲気が親しみやすく、わからない専門用語も高校生にわかりやすく説明してくれて、楽しかった。あっという間だった」と話した。

 生物学プログラムを受講した上野凛さん(2年)は「将来薬剤師になりたいと思い、2年から受けている生物の授業が楽しくて、もっと詳しく知りたいと思ったのと、大学の授業を受けられるなんてなかなかないから受けてみようと思った。知っていることも知らないことも出てきたけれど、専門性が高く、踏み込んだ感じがしておもしろかった」と笑顔で話した。