奄美市は、倒壊の危険がある空き家の撤去費用の一部を支援する助成制度を利用した家屋の撤去を今年度9軒実施することにした。助成制度は、今年度からスタートした事業で、市は今年度の当初予算に5軒分の撤去費用150万円を計上していたが、想定を上回る申請があったため、9月議会に提案する補正予算で新たに4軒分120万円を追加した。
危険空き家の除却は、昨年3月に策定した市の「空き家等対策計画」に基づく事業で、市の調査で危険空き家と判断された場合、市が家屋の撤去費用の三分の一(上限30万円)を助成するもの。空き家の所有者や相続人のほか、自治会など地元の組織代表者も対象となる。
市が2019年度に実施した空き家実態調査では、老朽化などにより周囲に危険を及ぼす可能性がある空き家が383戸あることが分かっており、市は、解体費などを助成することで、危険空き家の撤去を推進したい考えだ。4月から6月末まで事前調査と審査申込を受け付けた。
申請のあった9軒の地区ごとの内訳は、名瀬地区6軒、笠利地区2軒、住用地区1軒となっている。市は今後、追加予算の成立を待って、9月末にも助成金の交付決定を行う。
市が19年度に実施した実態調査によると、市内の空き家1049戸のうち、36・5%に当たる383戸が老朽化による倒壊など周囲に危険を及ぼす恐れがあるという。地区別の内訳は、名瀬292戸、住用26戸、笠利65戸で、名瀬が8割近くを占めている。
市は来年度以降も危険空き家の撤去を進める計画で、担当する市プロジェクト推進課は「来年度以降は、国の補助事業なども活用できるようになる。台風などで倒壊の危険がある空き家も多く、市民の安心、安全を確保に向け、危険空き家の除却を進めたい」としている。