迫る工事に危機訴え

ハート型の円陣でプラカードを掲げる参加者ら

 

老若男女100人 プラカードでアクション
嘉徳海岸

 

 県の護岸整備計画が進む瀬戸内町の嘉徳海岸で20日、工事の反対を訴える住民らが集まり声を上げた。県内外から集まった100人を超える老若男女らは、「SAVE嘉徳」「世界の宝を残して」などと書かれたプラカードを海岸で掲げ、迫る工事への危機を訴えた。

 奄美の森と川と海岸を守る会(ジョンマーク髙木代表)が主催。15日ごろからSNSなどを通じて各地に参加を呼び掛け、集落住民から島外の来島者まで100人を超える老若男女が集まった。

 海岸では髙木代表が参加者を前に「日本でも最後かもしれない手つかずの海岸。壊されようとしていることを我々が(多くの人に)伝えていかなければならない」などあいさつ。「工事が始まるはショックだが、一人で止めるのは難しい。みんなで繰り返し訴えることで声を届けていこう」と呼び掛けた。

 ビーチでは、参加者らが大きなハート型に円陣を組んで、持ち寄ったプラカードを掲げてそれぞれの思いをアピール。この様子はニューヨークタイムズの記者も取材。今後は映像会社有志によるドキュメンタリー映像としての配信も予定している。

 参加した嘉徳集落在住の50代男性は「対話のチャンスがないからこそ、こうして声を上げなければならない。自治体は一方的でなく、一人でも多くの声に耳を傾けるべき」と強調。同会の武久美さんは「県にはこれまで何度も住民説明などを呼び掛けてきたが未だに返事はない。いったん工事を止めて協議の場を設けてほしい」と訴えた。

 同海岸は、2014年の台風で砂浜が大きく浸食。地元住民らが護岸対策を要望し、県は検討委員会の結論などを踏まえ、延長180㍍のコンクリートブロックによる護岸整備計画を決定している。現在は整備に向けた測量調査などが進んでいる。