大島、大分舞鶴との再試合に競り勝つ

【1回戦・大分舞鶴―大島】1回裏大島一死一三塁、5番・中が左前適時打を放ち2点目=平和リース

 

初の九州8強入り
秋高校野球第2日

 

 【鹿児島】第149回九州地区高校野球大会第2日は7日、鹿児島市の平和リース、鴨池市民、両球場で1回戦5試合があった。

 大島は大分舞鶴(大分2位)との再試合に3―2で競り勝ち、初の九州8強入りを決めた。鹿児島2位の鹿児島城西は九州国際大付(福岡1位)に4―6で惜敗だった。

 8日は休養日。第3日は9日、両球場で準々決勝4試合がある。大島は興南(沖縄1位)と対戦する。

 試合結果は次の通り。

 =平和リース球場= 

◇1回戦第3試合(再試合)
大分舞鶴(大分2位)020000000 2
大島(鹿児島1位) 20000010X 3

【大分】奥本、野上―青柳
 【大島】大野―西田
▽二塁打 竹山、西田(大島)、後藤(大分)
(大分舞鶴)
3510212303129
打安点振球犠盗併失残
319145310012
(大島)

 

 【評】大島は一回裏一死一三塁から4番・西田が三ゴロ。三走・大野が三本間で挟まるも、相手のエラーで先制した。更に一死一三塁と好機が続き、5番・中の左前適時打で2点目を挙げた。直後の二回表に同点に追いつかれた。二回以降、再三好機を作り、押し気味に試合を進めながらも勝ち越し点が奪えなかったが、エース大野が三回以降、緩急を生かして丁寧な投球で追加点を許さなかった。七回裏、二死から4番・西田が左翼線二塁打を放ち、連続死球で満塁とし、相手のボークで勝ち越し点を挙げた。八回は二死二三塁、九回は二死一二塁とピンチを背負ったが、大野が踏ん張って1点差を守り切った。

 

 

先日の反省を生かす
大野力投「打たせてとる」 大島

 

【1回戦・大分舞鶴―大島】1回裏大島一死一三塁、4番・西田の三ゴロで三走・大野(右)が三本間で挟まるも、エラーで先制のホームイン=平和リース

 

 

 最後の打者を二ゴロで打ち取ると、エース大野稼頭央は何度も両手を上げて全身で喜びを表現した。「前日の反省を生かして、打たせて取る投球ができた」と自信に満ちた表情で勝因を語った。

 前日は延長十回、186球を投げ抜いたが、勝ち切れなかった。公式戦での連投は初めて。初回は自慢の直球が130㌔に届かず、制球も不安定で、明らかに前日の疲労を感じさせた。

 多難が予想されたが「8割の力で、守備を信じて打たせてとる」投球に切り替えた。100㌔を切るカーブ、110㌔前後のスライダー、勝負球に使えるようになったチェンジアップ…あらゆる「武器」を駆使し、130㌔に届かない直球を「いかに速く見せるか」の緩急が冴え、三回以降は追加点を許さなかった。

 打たれたり、思うようなボールがいかないときは、捕手・西田がこまめにマウンドに走って、間を取った。六回表は先頭打者に左中間へ運ばれたが、中堅手・中、遊撃手・武田主将の見事な中継プレーで二塁アウトをとるなど、守備陣も再三の好守と無失策でエースの力投を援護した。大勢の「大島応援団」が駆けつけた三塁側からの応援に「ワクワクした」と背中を押された。

 九回表、二死一二塁の場面で迎えた打者は2番・児玉。前日は同じ九回表に勝負を急いだ初球の直球で同点打を打たれたが、変化球から入ってストライクをとり、二ゴロに打ち取った。「打たせてとるけど、ヒットは打たれない」気迫で最後の難敵を仕留めた。

 苦しいマウンドを投げ切ったエースに、「本当にすごいやつです」と武田涼雅主将は脱帽する。大野の力投がチームの原動力になり、「負けたくない、甲子園に行きたい」(武田主将)気持ちを前面に出して、県大会から再三続く苦闘をものにしてきた。そんなエースに感謝すると同時に「頼ってばかりいられない。自分たちが打って援護できるようになりたい」と主将はやる気を駆り立てていた。
                               (政純一郎)