奄美の冬の始まり告げる

24日早朝、奄美の冬の始まりを告げるリュウキュウアサギマダラの集団越冬が観察された

リュウキュウアサギマダラ 羽寄せ合い集団越冬

 九州・沖縄も上空に寒気が流れ込んだ影響で冬型の気圧配置となっているが、24日の奄美地方は、最低気温が今季最低を観測するところもあった。急激な気温低下で奄美大島北部の森では、リュウキュウアサギマダラが集団で羽を寄せ合い寒さをしのぐ様子が観察されており、奄美の冬の始まりを告げている。

 気象庁によると、この日の奄美地方の最低気温は奄美大島北部の奄美市笠利で15・5度、名瀬で16・7度を観測。南部の瀬戸内町古仁屋は14・2度、徳之島の伊仙は13・2度まで下がり、古仁屋・伊仙の2カ所は今季最低を記録した。

 気温の低下による冬の訪れを自然界も告げている。ブルーと茶色のまだら模様が美しいリュウキュウアサギマダラが枯れ枝につかまり羽を寄せ、越冬する幻想的な光景が見られる季節となった。観察されたのは集落近くにある小高い森林内。樹木が覆いかぶさっているため薄暗く、北からの季節風が吹きつける時でも風が通り抜けることはない。そんな環境が保たれることで、現在は貴重な観察スポットとなっている。

 観察している住民によると、今季は数が多く「久しぶりに集団と呼べる数」という。季節風の入り込みによる急激な気温低下のほか、近くには吸蜜植物のヤマヒヨドリバナの群落があり日中は多くのチョウ類が集まっていることから、こうした「いくつかの要因が重なって今年は冬越しするリュウキュウアサギマダラの数が増えているのではないか」と考察する。

 奄美大島北部の観察スポットは少なくなっている。多くの人が集うと影響を与えることから、観察のマナーとして案内するガイドにも観察者の集中を避けるなどコントロールしていく姿勢が求められそうだ。