選果場利用促進へ研修会

光センサーで内部品質などを見分け、選別する機能などを確認する研修会参加者

県園振協大島支部 タンカンブランド力向上狙い
JA、運営への影響懸念も生産者の利用低迷続く

 「奄美たんかん」のブランド化を目的に導入された光センサー付き選果場の利用促進を図ろうと、県園芸振興協議会大島支部は日、奄美市名瀬朝戸の奄美大島選果場で研修会を開いた。生産者やJA、市場、行政関係者ら約人が参加。収穫期を迎えているかんきつ類の新品種「津之輝」を実際に選果機に通し、外観や糖度などの内部品質を光センサーで選別する機能などを確認した。選果場を指定管理するJAあまみの担当者らは、来年2月ごろから始まるタンカン出荷に向け、選果場の利用を呼び掛けた。

 同選果場は奄美群島振興開発事業(非公共事業)を活用、奄美市が事業主体となり、2011~12年度に約3億円をかけて整備した。うち国庫補助金は1億5千万円(奄美市約5千万円、その他約1億円)。

 選果場の指定管理者となっているJAあまみによると、整備当初の計画では年間約460㌧の利用を見込んでいたものの、16年度の約290㌧の利用が最大で、18年度には112㌧にまで落ち込んだ。19年度は168トン、20年度は250㌧まで持ち直しているものの、選果場運営の採算ラインとされる400㌧には遠く及ばず、赤字運営が続いており、選果機のメンテナンスや修繕費なども賄えない状況となっている。

 また、市場では選果場を通さずに出荷する生産者も多いため、粗悪品も流通するなど品質のばらつきによるブランド力の低下が指摘されている。高品質化と安定した共販体制の維持によるブランド力の向上に向け、選果場(光センサー選果機)を通すことが産地の課題となっており、最悪の場合、JAあまみの指定管理辞退や国庫補助金の返納など、選果場運営への影響も指摘されている。

 島内の自治体では宇検村が選果場の使用料(1㌔当り26円)を助成するなど利用促進の取り組みを行っており、奄美市など他自治体でも同様の動きが出ている。

 JAあまみ大島事業本部果樹専門部会の大海昌平部会長は「多くの生産者が選果場を利用することで、『奄美たんかん』の産地形成が図られる。ブランド力が高まることで、単価も上がり、農家の収入も増える。産地確立のため、できるだけ多くの生産者に利用してほしい」と話した。