三太郎線の夜間利用ルール勉強会

三太郎線の野生生物を説明するエコツアーガイドの井村純平さん

「自然保護」と「生活道路」両方の役割が重要

奄美市住用町の三太郎線周辺の夜間利用ルール試行運転開始に伴い、そのルール共有と三太郎線の魅力を再発見する勉強会が14日、同町公民館であった。三太郎峠に集中する希少動植物や、ナイトツアーの取り組みなどに参加者約50人は理解を深めた。主催は奄美大島三太郎線周辺における夜間利用適正化連絡会議。

10月29日から試行開始の夜間利用ルールは、事前予約での通行台数の調整や観察ルールを決め、動植物に優しい観察をしようとの試み。

三太郎線周辺の自然について講演した世界自然遺産科学委員会の服部正策さんは、同線周辺で確認された過去3年間の希少動物数を報告。アマミノクロウサギの確認数が年々増加傾向にある背景として、「(1)1990年の三太郎トンネルの開通による同線の交通量の減少と、(2)森林伐採による餌草の減少で、道路周辺の草を食べにくる」なども要因のひとつと述べ、それがロードキル増加にもつながっているとした。

また、エコツアーガイドの横尾伸広さんは、「同線の夜間規制は希少動物の保護として重要で、一般の方にも知ってもらいたい。知らないと守れないものがある」と述べる一方、地域住民の茂木幸生さんは、「生活道路としての役割と、世界自然遺産としての自然保護、お互いに守るべきルールを尊重し、地元の人がいつでも見に行ける場にしてほしい」と住民の立場から提言した。

夜間利用ルールの詳細は、▽事前のWEB上での予約▽30分間隔の運行▽時速10キロ以下の走行▽小型の生物や飛び出しへの注意▽追い越しや対向車への注意―など。