酒提供できず、休業状態

県の時短要請を受け、多くの店舗が休業。灯が消え閑散とした屋仁川通り(20日午後6時30分ごろ)

 

 

県時短要請、2週間延長受け
「これ以上は死活問題」
奄美市屋仁川通り

 

 県内の新型コロナウイルス感染者が急増するなか、県が奄美大島5市町村の飲食店への営業時間短縮要請を2週間延長し2月7日までとする方針を決めたことに対し、奄美市名瀬の飲食店などからは「これ以上の営業自粛は死活問題」など、切実な声が上がっている。島内の飲食店では2週間の時短要請に対し、実際には休業を選択する店舗も多く、「酒類提供できないであれば、休業要請にしてほしい」という声も聞かれる。

 同島では、年明け以降、感染者が爆発的に増えたため11日~24日までの2週間の時短営業要請が出された。だが、最大の歓楽街、奄美市名瀬の「屋仁川通り」にある店舗の多くは、時短営業ではなく、休業を選択。店舗入り口などには、県の時短要請期間の休業を知らせる張り紙が張られている。

 市内の約90店舗が加盟する奄美市社交飲食業組合の伊東隆吉理事長は「スナックなど接待を伴う飲食店も多く、酒類提供の停止は休業要請に等しい。さらに2週間の時短要請となると、約1カ月間、店を閉めることになり、飲食店にとっては相当苦しい」と、県の決定に落胆。実際に休業しているスナック経営の女性(50歳代)も「酒類提供なしに営業しても客は来ない。時短要請ではなく、休業要請にしてもらい協力金を上乗せしてもらった方がよかった」と話した。

 また、タクシー運転手の男性(63)は「ようやく、観光客なども増え利用客も増えてきた所だっただけに、いつまでこの状況が続くのか心配」と不安な表情で話した。

 県は、同島の飲食店1105店舗を対象に、午後8時以降の営業自粛と酒類提供を行わないことを条件に、1日当たり2万5千円~7万5千円の協力金を支払う。

 同組合によると、昨年実施された時短要請では、感染対策などを実施した上で、酒類の提供などは許可されたため、時短営業する店舗も多かったが、今回は酒類の提供ができないため、昼間の営業を行っている一部の飲食店を除き、ほとんどの飲食店が休業を余儀なくされているという。

 伊東理事長は「営業すれば、客から酒の提供を求められる場合も想定され、拒否すれば店のイメージ低下にもつながりかねない。スナックなど酒類提供を前提に接客をする店では、そもそも開店しても客が来る可能性も低い」と話し、「家賃や給与支払いなど、従業員を抱える規模の店舗は、協力金だけではやっていけない。さらに2週間延長となれば死活問題にもなってくる」と苦しい胸の内を明かした。