世界自然遺産 徳之島部会

ロードキル対策、マイクロチップ装着普及も課題に提起(17日、徳之島部会オンライン協議)

ロードキル対策強化
マイクロチップ装着率も課題

【徳之島】2022年度「奄美大島、徳之島、沖縄島および西表島世界自然遺産地域連絡会議」の第2回徳之島部会(県主催)が18日、オンライン開催され、ユネスコ世界遺産委員会の要請事項への対応状況などを協議。アマミノクロウサギなど固有種・絶滅危惧種のロードキル対策、ノネコ・ノイヌなど侵略的外来種対策では「B」評価原因の一つマイクロチップ(MC)装着率など課題も再確認した。

昨年7月の奄美・沖縄世界自然遺産登録に伴い世界遺産委員会が求めた要請事項(宿題)。うちクロウサギなど絶滅危惧種のロードキル減少を図る交通管理措置など対策については、奄美大島・徳之島ともに「B」評価の課題に。ほか緩衝地帯での森林伐採の限定なども求めている。世界自然保護連合(IUCN)評価のため今年12月1日まで世界遺産委員会に報告(レポート提出)する。

第2回徳之島部会には、環境省や県、地元3町当局など11の関係機関・団体が参加。県や環境省側が、各分野の専門家ら特別チームを交え検討を進めた世界遺産委要請事項への各分野の対応状況、今後の方向性など骨子案を説明した。

最重要課題のクロウサギなどのロードキル問題は、環境省が徳之島に管理官事務所を設置した2013年以降に確認数が増え、18年以降は年間20匹弱で推移。自然遺産登録地域内での発生は非常に少ないが、周辺の県道(松原轟木線や手々金見線)に集中。背景に「ノネコ防除事業による希少種の個体数が増加。希少種の生息域の拡大も要因の一つと考えられる」と分析。引き続き、進入抑制ネットや注意看板、移動式看板、路面標示・減速帯の設置―などの連携・推進の必要性を示唆。

これら希少種保護管理上のもう一つの重要課題「ノイヌ・ノネコを含む侵略的外来種対策」は、徳之島および沖縄島北部は4段階評価(S、A、B、C)の中で「B」(遺産価値に一定の悪影響またはおそれが認められ、保全・管理に関する事業など見直しが望まれるなど)に評価。

奄美大島、徳之島ともに飼い猫の不妊去勢手術率は「5割以上と比較的高い」半面、徳之島はMC装着率が3~4%と低く、同装着の普及も課題に挙げている。

今後のスケジュールは▽4―6月、第2回検討会で河川戦略とりまとめ▽5月、地域連絡会議に進捗報告▽7月、世界遺産委へのレポート作成▽9月、科学委員会で委員の助言を求める▽10月、地域連絡会議でレポート合意形成▽12月1日、世界遺産委へレポート提出―となっている。