安田市長、22年度施政方針

市議会で新年度の施政方針を述べる安田市長

「世界自然遺産課」新設
「コロナ後の新しい社会の開拓」に挑む

 奄美市議会は22日、本会議を開き安田壮平市長が2022年度の施政方針を発表した。昨年12月に就任後、初の新年度予算編成に臨んだ安田市長は、自身が目指す市の将来像について、「明るく、やさしく、風通しのよい未来都市」と位置づけ、88項目のマニフェストのうち41(46・6%)の関連項目に言及。新たに「世界自然遺産課」を設置、官民連携して環境保全に取り組みながら、世界自然遺産登録を観光振興に生かすことで、コロナ禍で疲弊した地域経済の回復を目指す考えを明らかにした。

 安田市長は、新年度への思いを「挑(挑む)」の漢字で表現、▽新型コロナウイルス対策▽持続可能に「かせぐ」地域づくり▽安心して豊かに暮らせる「まもる」地域づくり▽次世代を育む好循環を生み出す「そだてる」地域づくり▽市民に身近で頼りになる基盤づくり―の5項目を重要政策として掲げ、「約束した政策、事業の実現に職員とともに、スピード感を持って取り組む」などと意欲を示した。

 新型コロナ対策では、ワクチンの3回目接種について、「できるだけ早く、希望するすべての人への接種実現に努める」とし、感染対策を最優先しながらも、新型コロナによって観光業を中心に大きな打撃を受けている地域経済の回復に向け、「必要な支援を速やかに講ずる」と述べ、「コロナ後の新しい社会の開拓」を掲げた。

 かせぐ地域づくりでは、世界自然遺産登録の波及効果に期待、「観光立島を目指した多様な産業連携のまちづくりの実現」を掲げた。地域内の生産性向上や経済循環を高め、市民の所得向上を目指す方針を示し、世界自然遺産に関連した情報発信や環境対策などを一元的に推進するため、新たに「世界自然遺産課」を設置、今夏に同市住用町のマングローブパーク隣接地に環境省の「奄美大島世界遺産センター」のオープンが予定されていることから、「施設の価値を存分に発揮できるよう、関係機関との連携に取り組む」とした。

 まもる地域づくりでは、組織を横断した調整、連携を推進し市民の相談に対応できるように、新たに「重層的支援推進監」(仮称)を配置、マニフェストにも掲げている「断らない命と福祉の相談窓口」の相談体制づくりを進める。

 そだてる地域づくりでは、文化芸術活動の活性化に向けて、奄美群島初開催となる「県民文化フェスタinあまみ」(10月予定)や「ほこらしゃ奄美音楽祭」(来年2月ごろ予定)の開催を計画。「文化芸能の魅力を島内外に発信する」。

 基盤づくりでは、プロジェクト推進課内に新たに「官民連携室推進室」を設置、公民連携(PPP)や民間資金等活用(PFI)、公共施設の命名権制度導入などの研究や国連が推進する持続可能な開発目標「SDGs」の実践を推進。民間企業の人材を活用する地域おこし協力隊(地域活性化起業人)事業を活用、全日本空輸(ANA)からの派遣社員1人を登用、ふるさと納税を軸とした販路拡大や観光商品や物産の開発などにも取り組む。

 安田市長は演説の最後に、「挑戦する気持ちを持ち、その姿勢を示すことで、混迷の時代にあっても市の将来に向けて事を起こそうとする人たちの後押しになれば」と述べ、コロナ後の社会を見据えた市政運営への意気込みを示した。

 同日の本会議では、新年度予算関連議案や条例改正案などが上程された。一般質問は3月3、4、7、8日の4日間で、19人が登壇する。