徳之島固有種「タニムラカンアオイ」

ひっそりと可憐な花びらを広げている徳之島固有種「タニムラカンアオイ」=22日、同島西部地区

ひそやかに…可憐な白い花びら

 〇…徳之島の極めて限定的な石灰岩層の森林斜面だけに自生する同島固有種の「タニムラカンアオイ」が、可憐な白い花びらを広げている。盗採圧力などで絶滅危機の懸念が拭えない固有種だが、今春もひそやかに存在感を示してくれていた。

 〇…タニムラカンアオイ(別名タニムラアオイ)はウマノスズクサ科カンアオイ属の常緑多年草。1994年に「新種」と記載されたばかりの徳之島固有種だ。日本のカンアオイ属の中では唯一白い花(萼裂片、直径約2㌢)を持つ。その美しさから「白雪寒葵(シラユキカンアオイ)」とも称される。

 〇…カンアオイ属は成長が遅く生育範囲が広がりにくいため、地方で様々な種に分化するとされる。昨年夏、世界自然遺産に登録された奄美大島と徳之島だけで計11種の固有種が存在するという。

 〇…タニムラカンアオイは、環境省のレッドデータブック(絶滅のおそれのある野生生物種リスト)には未記載のままだ。地元の徳之島3町は、独自に採取禁止植物の一つに指定した保護条例を制定(2012年1月24日施行)。関係機関・団体とともに盗掘・盗採防止の監視を続けている。