鎮魂・恒久平和祈る

地元・西犬田布婦人会の〝慰霊の舞い〟と慰霊飛行のF-15戦闘機(円内)=7日、伊仙町犬田布岬

世界の軍事情勢、懸念再び
伊仙町犬田布岬 第55回戦艦大和慰霊祭

【徳之島】第55回「戦艦大和を旗艦とする特攻艦隊戦没将士慰霊祭」(同実行委員会主催)が7日、今年も伊仙町犬田布岬の同慰霊塔前であった。関係者約150人が参列。77年前、沖縄戦線への海上特攻で犠牲となった3737柱への鎮魂と平和希求の誓いを新たにした。自衛隊は今年も音楽隊派遣やF-15戦闘機の慰霊飛行で協力し「遺志を継ぐ国防」への強い決意もにじませた。

戦艦大和(72、809トン)を旗艦とする旧日本海軍第二艦隊の計10隻は第2次世界大戦末期の1945(昭和20)年4月6日、沖縄の米軍への海上特攻で山口県徳山港沖を出撃。しかし鹿児島の西南西約3キロを南下中の7日午後、米軍機動艦隊の艦載機の猛攻で大和をはじめ巡洋艦、駆逐艦など計6隻が沈没。終戦後の1968(昭和43)年、元軍人らの寄付で当時「沈没地点に最短」とされた徳之島(犬田布岬)に慰霊塔を建立。伊仙町など慰霊祭実行委は「英霊を最初に祭ったところ。平和希求のシンボル」として慰霊祭を継続している。

第55回慰霊祭はすがすがしい青空の下、航空自衛隊・南西航空音楽隊(三宅崇生隊長・17人)の「軍艦行進曲」など演奏と、地元の西犬田布婦人会員たちの慰霊の舞い「ああ犬田布岬」で午後2時前に開式した。大和の沈没時間(午後2時23分)に合わせて黙とうを捧げた後、空自那覇基地のF-15戦闘機・4機編隊が上空を3回慰霊飛行した。

大久保明伊仙町長は慰霊のことばの中で「世界の軍事情勢で国際社会が大きな試練に立たされている。この時代だからこそ祖国や郷土の安寧を願い礎(いしずえ)になられた英霊たちの遺志をしっかりと胸に刻み、あらためて世界平和を次の世代に」と強調。慰霊塔修復を含めた慰霊祭継続の意思も示した。

空自那覇基地・南西航空方面隊の谷嶋正仁司令官(空将)も慰霊のことばに併せて、「わが国の周辺には質量ともに優れた軍事力を有する国家が集中し、軍事力のさらなる強化や軍事活動の活発化が顕著となっている」と指摘。「自由や民主主義、法の支配、基本的人権と価値を同じくする仲間と手を携え、インド・太平洋地域における力による一方的な現状変更に断固として反対しなければならない」と述べ、み霊たちの遺志を継ぐ国防に強い使命感を示した。

この後、祭壇に玉ぐしと白菊を手向け全員で鎮魂と恒久平和を祈った。