奄美黒糖焼酎 今年の出荷量やや減少

今年に入っての出荷量は、1~2月は伸びが見られた「奄美黒糖焼酎」(資料写真)

1~2月は伸び、業務用の需要回復期待

5月9日と10日は「奄美黒糖焼酎の日」。新型コロナウイルス感染拡大で今年も関連したイベント開催は見送られる。県酒造組合奄美支部(乾眞一郎支部長)によると、今年に入っての出荷量は1~2月は前年を上回る伸びを見せたものの、3月は下降した。業務用の伸びが業界全体をけん引することから、飲食店需要の回復が期待されているが、まだ見通せない状況にある。

奄美黒糖焼酎の日は、5(コ)9(ク)10日(トウ)の語呂合わせ。奄美の伝統文化として継承されてきた黒糖焼酎の全国PRと産業振興につなげようと2009年に制定された。

黒糖焼酎の出荷量を示す課税移出数量をみると、2020酒造年度(20年7月1日~21年6月30日)は県内4610㌔㍑(前年比99・0%)、県外2641㌔㍑(同101・0%)となり、巣ごもり需要(家飲み)にも支えられ前年並みとなった。今年に入っての出荷量は1~3月までまとまっている。1月417㌔㍑(県内254、県外163)、2月476㌔㍑(県内282、県外194)、3月586㌔㍑(県内379、県外207)。前年同月比では1月108・5%、2月102・8%と連続して上回ったものの、3月は92%となり、減少に転じた。

1~3月計の前年比は95・8%で、4・2%減少。芋焼酎が生産されている県内他の地域と比較(出荷量の前年比)すると、県内を代表する大手メーカーが存在する地域は99・4%と前年並みを維持しているが、大隅地域など80%台に低迷しているところもあり、「コロナ禍の厳しい状況で奄美黒糖焼酎は健闘している」(奄美支部)と言えそう。

「オンライン飲み会」を含めた家飲み需要については「家庭では瓶よりも処理に便利な紙パックが好まれる。しかし紙パックに対応できる黒糖焼酎メーカーは大手を中心に5~6社と限られている。ほとんどのメーカーが恩恵を受けることができない状態」とし、「居酒屋などの飲食店で消費される業務用の需要回復に期待するしかない」との声がある。

まん延防止等重点措置の解除で飲食店への時短営業要請などはなくなったが、大型連休明けの感染状況によっては再び警戒が強まる恐れも。奄美支部は「安心して飲食できるようになってほしい。出荷につながる販路については海外展開も視野に入れると同時に、国内で黒糖焼酎がまだ普及・浸透していない地域(関東周辺、東北および北海道、名古屋など中部、四国)があるだけに、中央会とも連携しながら需要拡大に取り組む必要がある」としている。