長雨と日照不足で生育遅れ

果実にはまだ青さも目立つ瀬戸内町産パッションフルーツ(提供写真)

瀬戸内町産パッション 温度調整など「管理徹底を」

 断続的な長雨と日照不足などの天候不順が、農家や生産者らの頭を悩ませている。パッションフルーツ産地の瀬戸内町では、生育に深刻な状況ではないものの果実の着色などで遅れが見られる。品質は持ち直せる見込みだが天候不順はまだしばらく続きそうで、町や関係者らは「雨が降るとどうしても気温は下がる。ハウスの温度調整など管理をしっかり心掛けてほしい」と呼び掛けている。

 名瀬測候所によると奄美地方では5月、湿った空気や梅雨前線の影響で降水量が増え、各地で日照不足が目立った。同町の古仁屋観測所では5月1日~29日の間で、平年比202%増の449・5㍉の降水量を観測。日照時間に至っては45・1時間で、平年比39%とかなり少なくなった。

 瀬戸内パッションブランド産地協議会の有田修一会長によると、生育遅れは昨年と比べて1~2週間ほど。その分収穫も遅れるため、「昨年は早すぎたが、このまま(天候不順が)続くようだと出荷量などにも影響する恐れがある」と気を配る。

 同町嘉鉄で2棟のビニールハウスで栽培を手掛ける有田会長の農園でも「12月までは順調だったが、年明けごろからは着花などで遅れがみられた」という。品質面では「果実の大きさなどは例年並みで、生育自体に影響はない」。「天候が回復してくれればありがたいが、温度調整や葉面散布なども続けており、しっかりと熟成ができれば1週間後には収穫はできそうだ」と期待を込める。

 瀬戸内町農林課によると「例年なら収穫も始まるころだが、まだ青い果実が目立ち、全体的には遅れが見られる」。2021年の町内の収穫面積は2・5㌶で、生産量は40㌧。現在、個人客への発送遅れなどで問い合わせが見られたが、天候不順による極端な被害の報告は入っていないという。

 名瀬測候所の予報では、湿った空気や梅雨前線の影響で今後も2週間程度は曇りや雨の日が続く見込みで、管理徹底など十分注意するよう呼び掛けている。