シード大島 コールド勝ちで初戦突破

【1回戦・薩南工―大島】3回表大島二死一二塁、4番・西田が中前2点適時打を放ち、3点差とする=平和リース

徳之島はコールド負け
夏高校野球 鹿児島県大会第1日

 【鹿児島】第104回全国高校野球選手権鹿児島大会第1日は2日、鹿児島市の平和リース球場で1回戦2試合があった。

 奄美勢は第1シード大島が終盤畳みかけて薩南工に八回コールド勝ち。徳之島は鹿屋に八回コールド負けだった。

 第2日は3日、平和リース、鴨池市民の両球場で1回戦6試合がある。奄美勢は奄美が種子島と、古仁屋が鹿児島情報とそれぞれ対戦する。

 

「みんなの変化」を実感 大島

 

【1回戦・薩南工―大島】8回表大島二死二塁、2番・大野の右前適時打で二走・武田が生還、8点目=平和リース

 第1シードの大島だが、鴨池での勝利は昨年11月の九州大会準決勝の有田工戦以来、半年以上遠ざかっていた。「長かったです」と武田涼雅主将。「NHK旗で負けてから、みんなが変化した」のを感じられたのが何よりうれしかった。

 エース大野が抑え、4番・西田が打ち、投打の主軸の活躍に刺激されたかのように、チーム全員が躍動した。

 4番・西田心太朗は甲子園でも結果を出せず、春の九州大会以降は「スイングするたびに腰痛がする」ことが気になり、「身体の前で大きく振る」ことができず、春の九州大会初戦の小林西戦、NHK旗初戦の鹿児島戦はスタメンから外れていた。

 主砲の仕事ができず、チームも結果を残せなかった中で、西田も試行錯誤の日々が続いた。ボックスの一番前に出て、ボックスの角に左足を合わせ、右足を後ろに引いて、バックスイングをとらず、直球にも変化球にも対応するノーステップ打法で活路を見出す。

 三回の2点適時打、六回は6点目の左中間を深々と破る三塁打は、いずれも2ストライク追い込まれてから放ったものだ。力むよりもボールの軌道に合わせて振り抜いたことで、3打点を稼ぎ、久々に公式戦で4番の仕事をやってのけることができた。

 武田主将が感じた「みんなの変化」は終盤、気を緩めることなく得点を重ねたことだ。甲子園に出たことで満足し、どこかに置き忘れてきた「野球に対するひたむきさ」を全員が取り戻せたことが何よりの収穫だった。
(政純一郎)

 【評】大島は三回表、一死満塁から押出しで先制し、4番・西田の中前適時打で計3点を先取した。五回にエラーで失点したが、六回表には2番・大野、3番・前山が連打し、相手の守備が乱れて追加点。4番・西田が左越え三塁打、5番・中が犠飛で続く。七、八回も攻撃の手を緩めず、追加点を重ねた。エース大野は被安打5、8奪三振、1失点で完投勝ちだった。

練習の成果を出せたプレー
徳之島・清水歩夢捕手

 三回表、先頭打者の打球が三塁方向へのファールフライだった。

 「(稲田)和志がマウンドで頑張っている。守備で助けたい」一心で打球を追いかけた。ファールフライの練習はこれまで散々やってきた。島と鴨池の風は微妙に違うので、打球の質は練習とは違ったが、そんなことは関係ない。

 必死で追いかけ、ベンチのチームメートが見守る前でボールが落ちる寸前に滑り込んでキャッチ。相手の鹿屋ベンチからも「ナイスプレー!」と称賛の声が上がった。悔しい結果で終わった中でも「練習の成果が出せた」と胸を張って言えるプレーだった。

 「序盤から相手投手をつぶす」意気込みで攻めたが、初回の併殺で波に乗り損ねた。こちらの打ち気を微妙にそらす相手投手の投球を最後まで打ち崩せなかった。

 五回に集中打を浴びたところでは、2度盗塁を許した。「ボールの握り替えがうまくいかず、良いボールが投げられなかった」と悔やむ。

 「お前のせいじゃない。気にするな」

 苦しい場面になるたびに、マウンドに駆け寄って投手に声をかけた。その分、自身もどこかで「自分がやらねば」と気負っていたのかもしれない。六回にはエース前の変化球を捕球できずに暴投で失点しかけたが、後処理をしっかりして失点を防いだ。

 「お前のせいじゃない」

 ベンチの仲間に言われて気づいた。自分も仲間に助けられてプレーをしていることを。悔しい結果に終わったが「3年生10人、みんなで野球を楽しめた」。ただ3年間、一度も県大会で勝てずに卒業することだけが心残りだ。「厳しい練習になるが乗り越えてほしい」と達成できなかった夢を後輩たちに託した。
(政純一郎)

 【評】1回裏、徳之島は先頭の1番・加が中前打で出塁するも併殺で生かせず。四回まで先発左腕・稲田の好投などで無失点で切り抜けるも、打線の援護がなかった。五回表、足で揺さぶられ、集中打を浴びて5失点。六回も連続四球、エラーで満塁のピンチを招き3失点した。8点差を追いかける七回裏、徳之島は二死から四球、5番・幸田の中前打で一三塁と初めて三塁まで走者を進めるも得点ならず。無念のコールド負けを喫した。

【1回戦・鹿屋―徳之島】6回表鹿屋一死二塁、暴投で二走・神之園が本塁を狙うもタッチアウト。投手・前=平和リース