自主サロン「カナリヤ会」交流の喜びの詩で〝作詞家デビュー〟の常山タニ子さん(92)・中央=16日、伊仙町阿権
【徳之島】「年を重ねたカナリヤが 歌い始めて早や二年 皆んな上手のカナリヤよ 唄は心の友達ですね…」
高齢者のカラオケ歌声の集いを通した介護予防を願い、伊仙町阿権の民家を活用した自主サロン「カナリヤ会」。最高齢会員の常山タニ子さん(92)=阿権=がその交流の喜びをつづっていた詩「カナリヤ会の歌」が、沖縄民謡界の大御所・國吉真勇さんの新アルバム『國吉真勇 歌情け作品集』(今月1日発売)に登場。「92歳の作詞家デビューだ」と話題をまいている。
同集いの場は、南側前方に太平洋と東シナ海の紺ぺきの大海原が広がり、沖永良部島も望める阿権台地のサトウキビの葉波の緑に抱かれた一軒家。「カナリヤ会」代表で民生委員も務める森山哲男さん(68)が、閉じ籠りがちな高齢者たちの交流の場、健康寿命の延伸―などを願って約6年前、自宅敷地の別棟を開放したのが始まり。
当初グループの「ウグイス会」と次ぐ「カナリヤ会」が合併して現会員数は16人。実質的には新型コロナウイルス感染症対策の「3密」回避でこの約3年間は「活動休止」を余儀なくされてきた。
この間、常山さんの〝作詞家デビュー〟のきっかけとなったのは、会員仲間で沖縄民謡の國吉さんに師事した経験のある貢(みつぎ)弘美さん(天城町大津川)による常山さんの詩の見立てと紹介。沖縄民謡・情け歌の大御所・國吉さんの心を射止め補作詞・作曲して歌った最新アルバム(計15曲)の最後を締めくくる曲となった。
16日には常山さんの快挙を祝おうと約3年ぶり、密を避けたガーデン交流で歌仲間たちが集った。常山さんは「書いた詩が90歳にもなってCD化され、言葉にできないほどうれしい。みなさんのおかげで素晴らしい宝物ができました」と声を弾ませた。森山代表も「常山さんは多事を文章で残すなどの勉強家。大きな声を出して歌うことと併せて脳の老化防止、元気の源になっていると思う」と目を細めた。