貨物船入港 食料品も降ろす

2日朝、奄美市名瀬の佐大熊港に入港した貨物船。県本土からの食料品も降ろされた

名瀬・佐大熊港 地元市場、地場スーパー取り寄せ対応 

迷走台風11号の影響で奄美・沖縄航路の定期船は欠航が続いている中、2日朝、奄美市名瀬の佐大熊港に貨物船が入港した。鹿児島発の下り便で、積み込んだ貨物量は600~700トン(全体量)。地元市場や地場スーパーなどが取り寄せた青果物、食料品も降ろされた。離島民の生活を支える貴重な物資となりそうだ。

佐大熊港に入港したのは共同組海運(鹿児島市)が運航する「みさきⅡ」(2565トン)。同社は貨物船2隻(他に「きょらむん」)を所有、鹿児島市の谷山港を出港し奄美群島(奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島)の各港に寄港している。

日曜を除き毎日運航しているが、台風の進路状況で8月30日、31日の鹿児島発の出港は取りやめ、沖縄の南に南下した1日は夕方(午後5時ごろ)谷山港を出港、翌2日朝、奄美大島の佐大熊港に入港した。今回は喜界島への寄港はなく、同日で徳之島(寄港できない可能性もある条件付運航)、沖永良部島(同)へ向かい、その後鹿児島に上る航路となった。鹿児島発下り便は、1日は出港したが、金曜・土曜の2、3日は欠航する。

取り扱った貨物は車両や建築資材、農業資材などのほか食料品も。奄美・沖縄航路の定期船が欠航となっているため、通常は積み込まない食料品などの利用もあったという。

地元市場・名瀬中央青果は、貨物船を利用。定期船の初日欠航分をスライドさせる形で冷蔵コンテナ一つ(約4トン)、常温パレット五つ(約800キロ×5)を取り寄せた。コンテナやパレットには取引がある県本土の仲買業者などを通して九州産や北海道産、長野県などの青果物(主に野菜)が積み込まれ、さっそく2日のセリにかけられた。

中央青果の担当者は「定期船の欠航が続く中で、貨物船が出港することを知り急きょ利用した。本土産の野菜類が入荷し、セリにかけることができた。青果店などの店頭で販売できるのではないか。今後も欠航が続くだけに、市場の冷蔵庫で保管(野菜備蓄)しながらセリが続けられるようにしていきたい」と語った。

地場スーパー・グリーンストアも貨物船を利用、大型コンテナで本土産の食料品を取り寄せた。奄美市内のスーパーやコンビニなどの小売店は台風欠航に備えた消費者の買いだめもあり品不足となっているが、グリーンストアは不足していた食料品を補充。各店舗では牛乳やヨーグルトなどの乳製品、豆腐や納豆、カップメン、野菜類など取り扱っており、「在庫分も含めて売り場のスペースに合わせて出せるものは出して、食料品不足に困っている消費者に応えていきたい」としている。