喜界、初戦突破ならず

【1回戦・喜界―出水工】2回裏喜界無死一三塁、横山のスクイズで三走・住友哉が生還、2―3とする=平和リース

秋高校野球第1日
21日以降の試合予定が変更

【鹿児島】第151回九州地区高校野球大会鹿児島県予選第1日は20日、鹿児島市の平和リース球場で1回戦3試合があった。

奄美勢は喜界が出水工と対戦。終盤まで接戦を演じたが5―9で敗れた。

第2日は21日、同球場で1回戦4試合がある。奄美勢の試合は組まれていない。

なお台風14号の被害で鴨池市民球場が使用できなくなったため、今大会は平和リース球場のみを使用しての開催となった。これに伴って試合日程の変更があった。21日以降の奄美勢の初戦の日程は以下の通り。

鹿児島実―鶴翔・奄美・古仁屋(22日、第3試合)▽鹿児島水産―徳之島(22日、第4試合)▽隼人工―樟南二(23日、第3試合)▽大島―枕崎(24日、第4試合)▽志學館・鹿児島修学館・鹿高特支―沖永良部(26日、第3試合)

【評】初回に3点先制された喜界だったが二回裏に4番・住友城、5番・住友哉の連打で好機を作り、相手のエラーと7番・横山のスクイズで2点を返した。四回表に2点を失ったが、その裏に7番・横山の右前適時打で1点を返す。3点差を追いかける五回裏は4番・住友城の犠飛、5番・住友哉の左前適時打で2点を返し1点差に詰め寄った。六回以降は先発の右腕・住友城が粘り強く投げて追加点を許さなかったが、九回に3点を失って4点差となった。その裏、連打で無死一二塁と粘りを見せたが、併殺で生かせなかった。

喜界、試合できて「全てに感謝」
県高野連 開始予定、遅らせて待機

初戦で敗れた喜界だったが、住友晴城主将は「試合ができただけでもありがたかった。関わってくれた全ての人に感謝したい」と振り返った。

慌ただしい1日だった。本来なら19日開幕の本大会は台風14号の影響で1日延期が事前に決まった。大会初日の第3試合に組まれていた喜界だったが、台風のため船も飛行機も欠航が続き、大会前日までの鹿児島入りは断念せざるを得ない。

当日午前の便で鹿児島入りすれば試合開始にギリギリ間に合うが、直行便はすでに満席でチケットが取れなかった。残された可能性は奄美大島経由での乗り継ぎだったが、試合開始に間に合わず「没収試合になる」(松元修監督)こともあり得た。そんな状況だったが主催の県高野連からは、午後1時40分開始予定を午後3時に遅らせて待機するとの連絡があった。

「勝ち負けよりもこの大会に出ることに意味がある」と思った松元監督は出場を決意。午前10時10分発の大島行きが20分遅れ、鹿児島空港からの空港バスにも乗り遅れたが、午後2時30分に球場に到着。何とか試合開始時刻に間に合った。

選手は9人ギリギリ。初回に3点を先制されたが、住友晴城、晴哉の双子兄弟の活躍などで反撃し、終盤まで1点差の接戦を演じた。最後は4点差で敗れたが「大会を成立させるためにいろんな人が関わっていることが分かることが、彼らの今後につながる」と松元監督。大会を運営する県高野連、旅程を手配した旅行会社、応援してくれる保護者、何より対戦相手の出水工…全ての理解と協力がなければ試合、大会が成り立たないことが身に染みた。

だからこそ「負けたことが悔しい」と住友城主将。感謝の気持ちも含めて「厳しい冬練でレベルアップして鴨池に帰ってくる」モチベーションにするつもりだ。(政純一郎)