軽石再び漂着

船溜まりを漂流する軽石で水面が覆われた小湊漁港

奄美市の小湊漁港 粒細かく、除去困難に
漁船出せず漁業者悩ます

17日から18日かけ奄美に接近した台風14号の影響で、奄美市名瀬の小湊漁港の船溜まりや小湊海岸に大量の軽石が漂着、一部で漁船の出港に支障が出るなどしている。同港では昨年10月にも大量の軽石が漂着、重機などを使った除去作業が行われたが、1年近くたって再び軽石が漂着。漁業関係者らは「台風が来るたびに迷惑な置き土産をされては困ってしまう」と頭を抱えている。

小湊町内会の栄嘉弘町内会長(68)によると、台風が過ぎ去った19日に同港や海岸に漂着しているのを確認したという。市役所に報告し、21日には市職員ら約10人がかりで、手の届く範囲に打ち寄せられた軽石を、網などを使ってすくい取ったものの、すべてを取り除くことはできなかった。

軽石は、昨年8月に発生した小笠原諸島の海底火山噴火に由来するものとみられ、1年以上が経過した後も、海上を漂流していたものが、台風による高波によって、再び港湾内に入り込んだとみられる。潮の流れなどによって船溜まりの中を漂流。24日には、港内の南側奥に滞留、海面を茶色に染めていた。

今回漂着した軽石は、昨年10月の漂着時のものよりも小さく、直径1㌢未満がほとんど。粒が細かく、漁船のエンジン内に入り込んでしまうと故障の原因にもなってしまう。

漁港には台風が過ぎた後も多くの漁船が陸揚げされたままとなっており、同漁港に漁船などを係留している漁業者らでつくる小湊漁業会(17人)の小元和博代表(73)は「粒が細かいためごみを取り除くこしきをすり抜けてしまい、海水と一緒にポンプで吸い上げてしまうとエンジンが壊れてしまう。このままでは船を出すことはできない」と話す。

栄町内会長は「行政の手助けがないと、町内会だけでは取り除くのは難しい」と話し、小元代表も「港内に入り込んだものは、潮の流れなどで自然と外に出ていくことはない。何とかして取り除く方法を考えないといけない」と話した。