「ハカマロール」で循環型農業

ハカマロールの生産と利用の留意点をテーマに講師を務めた内博行さん(28日、奄美市名瀬)

内農場で行われているサトウキビハカマの給与の様子(YouTubeより)

自給飼料増産へ勉強会
大島地区畜産担当者会 制度設計、意思統一図る

 県肉用牛振興協議会大島支部と奄美群島農政推進協議会畜産部会は28日、大島地区畜産担当者会を奄美市名瀬のホテルで開催した。市町村、生産者組織、JAなど関係機関約25人が参加。同地区の粗飼料増産に向けた取り組みの一環である「ハカマロール」に関する勉強会を実施し、講師に、徳之島町で内農場を運営する内博行さん(43)が登壇。他にも、同取り組みの実証事業案が報告され、円安およびウクライナ情勢などで、価格上昇を続ける配合飼料に代わる「自給飼料」の増産に向け、制度設計、意思統一が図られた。

 ハカマロールとは、サトウキビの収穫残さ(収穫後の畑などに残る枯葉など)を農業機械で圧縮しロール状にしたもの。その生産と利用は、同支部が作成したマニュアル、「草づくり ホップ・ステップ・ジャンプ~大島地区粗飼料増産の取組~」の「ステップ」に当たる取り組み。繁殖雄牛などに給与する、ハカマロールなど粗飼料の自給率向上で、畜産経営の安定を各島、地域ごとに図ることが目的。

 勉強会では、サトウキビ畑15㌶・肉用牛(繁殖雌牛)25頭を有する複合経営を営む内農場が、2017年から取り組んでいる、ハカマロールの生産事例(7㌶で300㌔、280個)を基に進行。内さんは、生産・利用方法の留意点などとともに、サトウキビのハカマ(枯葉)を飼料化できる、奄美群島の環境の強みを改めて伝えた。

 また同会では「ハカマロール生産・利用実証調査(案)」を報告。低コストで活用できるハカマを給与した牛の牛ふん(堆肥)を、サトウキビ畑に還元する循環型農業を構築することを目的に、サトウキビ・肉用牛複合経営を対象に、11月に調査協力農家を選定する。

 奄美群島糖業振興会は、調査協力農家に対し、協力(補償)費として、10㌃・4400円、同支部は同費10㌃・2万円以内(共に試験区、生産者手取り価格)を支払うとしている。

 大島支部支部長で大島支庁農政普及課・川越尚樹課長(59)は、「調査は、サトウキビ農家、畜産農家双方の経営安定を図るために行う。奄美群島でしかできない循環型農業として、ハカマロールの生産・利用を推進していく」としている。