パネルディスカッションでは専門家や依存症の治療に携わる当事者らが意見を交わした
県主催の2022年度「再犯防止シンポジウム」が21日、奄美市名瀬の奄美文化センターであった。「依存症を考える」をテーマに、登壇した専門家や依存症の治療に携わる当事者らが症状の特長や支援の大切さについて語り、依存症回復へ正しい知識を学び、理解を深めた。
2019年に設定の県再犯防止推進計画に基づき、刑務所などから社会に戻った人たちの再犯防止・支援について考えようと実施。群島内の保護司や更生保護女性会、関係者ら約150人が参加した。
「依存の正体と問題」と題し基調講演した県精神保健福祉士協会代表理事の大津敬さんは「酒や薬、ギャンブルなど、依存症はやめたいと思っても繰り返してしまう脳の病気だ」と指摘。「アルコールや薬物を使うことで報酬を求める回路が(脳に)でき上がり、続けることで満足も弱くなり量が増える。誰でもなりえる病気だ」と訴えた。
依存症には、世間から不道徳だと見られたくないといった偏見などからくる「否認」、孤独や苦しむ人がなりやすい「孤立」などの問題があるが、大津さんは「依存症になれば人生終わりだ、回復は無理に違いないと誤解を生む地域や社会が抱える課題でもある」と強調。「酒や薬などをやめられない人については、〝生きにくさを抱えた人が悩みを取り除くための孤独な自己治療〟と理解すれば依存症とも関わりやすくなる。違法とかは関係なく、一緒に考え治療と支援につなげていくことが大切だ」と呼び掛けた。
パネルディスカッションでは、依存症に関わる就労支援者や医療関係者、保護司ら4人が登壇し、取り組み事例などを紹介。協議では、「本人よりも支える(ことに目を背ける)家族へのアプローチが重要」「何度も治療に通って治らない人もいるが、失敗ではなく回復の途中と捉えてほしい」といった意見なども出た。