3日連続5回公演で魅了した小中高生ら「結シアター手舞」の『島口ミュージカル結―MUSUBI』(第4回公演)=26日昼、天城町防災センター
【徳之島】徳之島の小中高生ら「結(ゆい)シアター手舞(てまい)」(32人)の公演『島口ミュージカル結―MUSUBI―』が24~26日の3日間、天城町防災センターであった。明治維新の立役者西郷隆盛の遠投処分中の島民とのふれあいや島口、芸能、闘牛など伝統文化も織り交ぜて1回当たりの上演時間は約2時間半。昼夜計5回の〝怒涛の公演〟で延べ800人の観客を魅了した。
「結シアター手舞」は「第30回国民文化祭かごしま2015」での島口発表に向け前年の14年、当時の天城町内の中高生や町連合青年団で結成したのが始まり。音楽・演技はプロの指導も仰ぎ、圧巻の〝徳之島版ミュージカル文化〟を創出・発信して反響を巻き起こした。その後、「国文祭参加で活動を終わらせたくない」と年間を通した活動で継続。18年の大河ドラマ「西郷(せご)どん」ブームもありメンバーも3町に拡大。卒業公演や島外遠征の自主公演など先輩から後輩へとバトンをつなぎ、今年で結成8年になる。
昨年はコロナ禍に配慮、無観客上演して動画配信サイトで公開。2年ぶり有観客公演の今年は、同会場定員の半分180席に限定。24日夜、25日昼夜、26日同と3日間で一挙5回連続公演を敢行した。
時代は1862(文久2)年の徳之島。薩摩藩から再遠島に処された西郷の人柄を師と慕い、京都にも同行した同島の青年・琉仲祐=のち徳嶋(とくのしま)仲祐=との志が綴られていく物語。島民とのふれあいや愛加那母子との再会と別れ。涙と笑いに手拍子も誘う田植え歌など伝統芸能や闘牛なども織り交ぜ、約2時間半にわたり熱演した。
22年度の民謡民舞少年少女全国大会・中学生の部日本一の峰岡歩嬉(ほこら)さん(15)=北中3年=の島唄など生演奏も大好評だった。
第4回目公演(26日昼)で西郷役を務めた中村巧人さん(樟南二高2年)は「多くのお客さんの前で緊張したが、自分に自信が持てた。姉の影響でメンバーになって3年。人との関りも深まり続けて良かった」。夜の最終5回で西郷役を務めたOBの名越駿社(はやと)さん(19)=福岡・救急救命士専門学校生=は「中1時代から今年で7年。毎年誰かが(卒業で)出ていくのでみんなで役を担おうと続けた。公演は何回やっても感動します」とにっこり。
観客の1人・学校職員上田朱美さん(天城町松原)は「公演は毎回観賞して、新たな感動に涙しています。子どもたちの演技に加え、生演奏も迫力があってとても素晴らしかった」と感動。
結シアター手舞を支え続けている同育成会会長の前田美香登さん(54)は「2年ぶり公演はコロナ禍や悪天候に気を揉んだ。1人で何回も観て下さるお客様もおり、子どもたちの活動は地域の皆様に支えられています」と感謝していた。