嘉徳工事「一日も早い再開を」

松藤大島支庁長に要望書を届けた(右2人目から)鎌田町長、栄区長、徳田前区長

大島支庁で要望書提出
瀬戸内町と集落住民

 瀬戸内町の鎌田愛人町長は12日、奄美市名瀬の県大島支庁を訪れ、同町嘉徳海岸で進められている浸食対策工事の早期完成を求める要望書を塩田康一知事宛に提出した。要望書は嘉徳集落住民との連名で、手渡した鎌田町長は「着手から8年。住民は台風が来るたび苦しい思いをしている」と訴え、工事の一日も早い再開と完成を求めた。

 嘉徳海岸の工事は、2014年の台風高波で海岸の砂丘が浸食被害にあったことを受け、県が護岸工事を決定。19年にブロック製作工事で着工し、23年2月には歩道整備のための準備工事に着手したものの、一部住民の反対などで工事は1年4か月にわたって中断が続いている。

 要望書は、護岸工事公金支出差し止め請求訴訟の二審判決が出たことを踏まえ再度提出した。書面では「住民の安心・安全な生活を一日も早く実現するために、工事の一刻も早い再開と早期完成を図ること」と強く求めた。

 県大島支庁長室へは、鎌田町長の他、嘉徳集落住民を代表し栄茂男区長、徳田博也前区長らが訪れ、松藤啓介大島支庁長に要望書を手渡した。栄区長は「辛抱して約10年。住民には心配事を抱えたまま亡くなった人もいる。一日も早く不安を払拭(ふっしょく)していただきたい」と要望。徳田前区長は「住民が元気なうちによかったと思えるよう、早くお願いしたい」と思いを伝えた。

 松藤大島支庁長は「住民の思いは重く受け止めている」と強調。「一日も早い着手、完成できるように努めたい」と応えた。

 工事は、検討委員会などの調査を経て、長さ180㍍の護岸の整備などを計画。同日現在、完成時期は未定。総事業費は約3億4千万円を見込み、23年度までに約2億1千万円を計上している。