スキューバ安全協 海保と合同訓練

救難者を船に引き上げる「溺者揚収訓練」(13日、名瀬新港地区)

溺者救助の技術学ぶ

 奄美海上保安部(大場伊佐大(いさお)部長)と奄美群島地区スキューバダイビング(SD)安全対策協議会(中田留弘会長、会員38事業所)による合同潜水訓練が13日、奄美市名瀬の新港地区3号岸壁前海域であった。同保安部3人、古仁屋海上保安署巡視船いそなみの乗組員8人(うち潜水士3人)、SD会員のダイビングインストラクター13人が参加。水中に沈んだ海難者を捜索し、船に引き上げる実践的な訓練が行われた。参加者は、海保の救助技術を学ぼうと真剣な表情で取り組んでいた。

 合同訓練は、梅雨明け後から10月後半にかけ急増するレジャーダイビング事故の未然防止と救助活動に関する知識習得・技術向上を目的に開催。

 海保が救難事故で実際に使用するネット状の落水者救助システム「レスキュークレードル」など資器材の説明を受け、捜索訓練に入った。

 捜索想定の範囲は岸壁から沖合20㍍、幅20㍍。潜水士が張ったロープ(索)の間にSD会員が並び、索を引く回数で「進め」「発見」など意思疎通を図る「索信号」を送りながら水深7㍍地点を捜索した。

 アマチュアダイバーだと、すぐにラインが乱れ混乱が生じるという手法だが、ライセンスを持つプロダイバーたちは、卓越した技術で緻密(ちみつ)な連携を見せていた。

 海中に沈んだ救難者を見つけ、ボートに乗った2人が船に引き上げる「溺者揚収訓練」も行われ、緊張感漂う訓練は、約3時間に及んだ。

 中田会長は「指導団体による救助訓練は存在するが、手法がまちまち。海保の救助法はいざというときの基本技術となり意義深い。客のスキルを把握して事故のないシーズンにしてほしい」と話した。

 同保安部交通課によると、奄美群島内のマリンレジャ―による海浜事故は2023年(1~12月)13件発生、6人が死亡している。