感謝を込めるよう丁寧に熱唱する城さん。左は伊藤ハルトシさん、右は武部聡志さん=提供((C)日比谷音楽祭実行委員会)
城さんのステージを見守ったファンクラブ「南海人(みなみんちゅ)」のメンバーら
【東京】奄美出身の歌手・城南海さんが8日、千代田区の日比谷公園小音楽堂で熱唱、奄美の風を吹かせた。「日比谷音楽祭2024(主催・同音楽祭実行委員会)」に奄美出身者として初出演の快挙となった。多くの観客を魅了した城さんは、感謝と古里への思いなどを語った。
同音楽祭(亀田誠治実行委員長)は8、9日の2日間にわたって開催された。小田和正さんや石川さゆりさんのほか、スピッツが21年ぶりの日比谷野外音楽堂で演奏するなど、世代やジャンルを超えたアーティスト58組が大集結したなかで、城さんが参加したもの。舞台となった日比谷公園と東京ミッドタウン日比谷には、計17万5000人(主催者発表)が来場した。6回目を迎えた大きなイベントに奄美出身者が参加するのは、初のこと。
強い日差しの下、鮮やかな染めのドレスで「奄美の風を吹かせます」と登場した城さんは「サンサーラ」「兆し」「紅」を熱唱、大きな拍手を浴びていた。続いて、武部聡志さんのチヂンで三味線を奏で「豊年節」を披露すれば手拍子、ハト(指笛)が飛び交い、都会の公園が奄美色に染まっていった。最後は最新アルバムのタイトルナンバー曲「爛漫」をしっとりと歌い上げた。立ち見も含め約1000人の観客を魅了。「ありがっさまりょん。世界自然遺産の奄美に来てね」などと笑顔で古里をPR、歓声と惜しみない拍手に送られ、充実した30分間のステージを降りた。
この日、城さんのファンクラブ「南海人(みなみんちゅ)」のメンバーもステージを見守った。群馬県安中市の自宅を午前7時に出発し駆け付けた、小島康光さん(63)は「よかった。豊年節、最高でした」と話していた。初めて城さんを見た都内の60代夫婦は「声も姿もきれいで、すてきでした。ぜひ奄美に行ってみたいですね」と笑顔だった。
城さんは「風、緑、青空、温かいお客様のおかげで楽しく奏でることができました。メンバー(武部聡志さん、伊藤ハルトシさん)にも恵まれ、音の会話を楽しめました」と言葉を弾ませた。「爛漫」を歌った際は「東京という街で頑張ろうと思った自身の姿が脳裏によぎった」という。デビュー15年、古里については「思いはずっと変わりません。その都度、自分の役目を確認しながら何ができるかを考えています」と瞳を輝かせていた。爛漫(らんまん)と歌の花を咲かせる、ツアーは8月3日の札幌を皮切りに仙台、大阪、福岡などで開催される。