アマホームPLAZAで講演する人間国宝の森口氏(右)
㈱銀座もとじ(泉二啓太社長)は16日、アマホームPLAZA(市民交流センター)で重要無形文化財保持者(人間国宝)・森口邦彦氏の講演会を開いた。森口氏は「みんなで考えて、考え抜いて未来を描く。そのようにできたら、きょうは、新生大島紬の一日目にしたらどうでしょう。何十年後には新しい大島紬ができると確信する」と強調した。
森口氏は、「世界の人々から守ってほしいと言われたこの大自然の中で、自らの存在を作り出したご先祖様の時代に大島紬を体験すれば、また新しい世界が開いていくのではないか、と希望している」と話した。
さらに「この島で生まれた人たちが手をつないで次の世代へつなげていく。奄美の大島紬がどうなるか、一人一人の気持ちがみんなの力になって新しい時代を生み出していくんじゃないか」と指摘。「奄美の大自然に立ち向かうように紬織りを続けてきた。どうしたらこういうものができるのか、作り続けてきた人たちの努力を垣間見てください」と語った。
今は亡き人間国宝の北村武資氏から森口氏を紹介され、「奄美から世界へ羽ばたく子どもたちに先生の教えを話してほしい」という泉二弘明会長の願いから講演の運びとなった。
ほとんど休憩なしで生徒たちに教えた森口氏
授業終わりに自分の作品を持って森口氏と記念撮影
㈱銀座もとじ(泉二啓太社長)の主催で17日、大島高校美術室で同高校美術部員(10人)と奄美高校美術部員(10人)合同の人間国宝・森口邦彦氏による特別講義(ワークショップ)があった。この催しは、前日にアマホームPLAZAで開催した講演会の関連。
ルールを作ってルールに沿って動きをしていく「オートマティスム」の講義で、初めに対角線の図形(5×5マス)を描き、一つのマスの半分(三角)を塗りつぶしたら一つ置きに180度回転させると市松という模様ができる。
森口氏は「潜在的なものを引っ張り出す手法で、一つの新しい方法を見いだす手段として作業をどこかでしたいなと思っていたら今回、こういう形で講義ができた。若い人に『手を動かすことは楽しいんだよ』と共有できた。その時その時、いろんな考えの人がいることを知らせることが本来の教育の目的だと思う」と述べた。
3時間の授業時間では足りなかったようで、森口氏は生徒たちに宿題を出した。最後にみんなで記念撮影した後は、いつの間にかサイン会になっていて、生徒たちはうれしそうだった。