3世、4世の参加者を前にシマ唄を熱唱する田向さん(左)と成瀬さん(いずれも提供写真)
奄美の紹介などをする出演者(奥の左から2人目が惠原さん)
感激でジャカルタでも踊りの輪が広がる様子
【東京】日本から数千キロも離れた、ジャカルタでこの2月にシマ唄のミニコンサートが開催され、地元の新聞でも報道されていたことが分かった。イベントに参加した人の中には、感動と笑顔が広がり、現地では奄美会を結成する動きもあるという。
2月12日付「じゃかるた新聞」によると、イベントは2月10日に南ジャカルタ・テベットにある「残留日本兵資料館」で行われたもの。元残留日本兵の子孫たちによる組織「福祉友の会」によって開催された。
「島唄(原文のまま)」を楽しむミニコンサートと題したイベントに呼ばれたのは、唄者の田向美春さんと成瀬茉倫さんら。同紙は「2人は奄美三味線を弾き、集まった約30人を前にこぶしをきかせた島唄を会場に響かせた」「イベントは友の会で活動の中心を担う3世、4世が企画したもので3世のミアガ・ブワナ・田中氏(31)は『パフォーマンスが中心のイベントは今回が初めて』とうれしそう」とする記事を、山本佑記者の署名で掲載している。
また、「日イの架け橋となった元残留日本兵の人々のおかげで今日のコンサートが実現した」(成瀬さん)。「元残留日本兵がいかにインドネシアに貢献したのかを知って驚いた」(田向さん)との感想を「島唄に乗せ文化交流」「福祉の会 奄美大島から歌手招き」との見出しで、2人が熱唱する写真とともに紹介されている。
イベントは、渋谷の奄美料理居酒屋「六調」の常連でインドネシアに商社員として駐在していた大瀧英樹さん(52=東京都出身)が、店主の惠原睦男さん(72)と田向さんに「大好きな奄美のシマ唄をインドネシアで聴かせたい」と4年前に相談したことがきっかけ。コロナ禍が明け、ようやくその情熱が実った。当日は、奄美群島観光物産協会提供によるパンフレットが参加者に配られ、出演者らが用意した映像を使って奄美の自然や文化が英語で説明された後、シマ唄の披露となった。
あらためて田向さんに話を聞くと「朝花などのシマ唄を英語で説明しながら唄いました。茉倫ちゃんと一緒に奄美の風を吹かせてきましたよ」と笑顔で振り返った。会場には、ジャカルタで日本食店を経営している小林イツヨさん(75、旧姓松元・旧名瀬市幸町出身)やメーカーの駐在員・春日勇治さん(26、瀬戸内町・諸鈍出身)も参加した。小林さんは、久しぶりにシマ唄を聴いて涙が出ました。これを機に、ジャカルタ奄美会をつくりたい」と熱く語っていたそうだ。じゃかるた新聞は、ジャカルタに在住する主に日本人向けに発行する日本語の日刊新聞(中村隆二社主、6500部発行)で激動する現地のニュースを詳しく報道している。