乳酸菌添加し発酵促進へ

乳酸菌を添加しての「ハカマロール」生産。24年度は品質向上の実証が進められる(県大島支庁農政普及課提供)

「ハカマロール」 普及拡大へ品質向上

 配合飼料・肥料など生産資材価格の高止まりが続き、畜産経営への長期的な影響が憂慮されている中、地元の資源を活用した自給粗飼料として期待されているのが「ハカマロール」(サトウキビの収穫残さ〈枯れ葉など〉を農業機械で圧縮しロール状にしたもの)だ。2023年度は各島で普及定着に向けた実証事業が進められたが、24年度は普及拡大へ乳酸菌を添加しての品質向上に取り組む。

 今月20日にあった県肉用牛振興協議会大島支部(支部長・中実大島支庁農政普及課長)の24年度総会で承認の事業計画で示された。事務局の同課によると、餌用の乳酸菌を添加することで発酵が促進されることから、乳酸発酵の状況を実証。地域資源フル活用自給飼料増産対策事業を活用した鹿児島大学との共同研究により成分などを明らかにしていく。

 ハカマロールの生産・給与の実証は昨年12月の検討会で報告されている。既存の飼料との比較でコスト削減効果が見られた一方、降雨後に収穫したハカマの水分量の調整が課題として挙がった。

 粗飼料自給率向上では24年度、「肉用牛経営における土づくり」を新たな重点課題に追加。有機物を投入しての土づくりにより品質のよい草を育てるためで、支部研修会などでテーマにしていく。

 大島地区の肉用牛の飼養農家戸数(24年2月時点)は1478戸(前年比96・5%)、子取り用雌牛の飼養頭数は2万2231頭(同95・8%)といずれも減少している。総会での23年度事業実績報告によると、23年の子牛平均価格は51万円(大島地区加重平均、税込み)で、前年比85・1%に低迷。和子牛生産者臨時経営支援事業が継続的に発動されたほか、肉用子牛生産者補給制度も約22年ぶりに発動された。

 同日は奄美群島農政推進協議会畜産部会(部会長・森浩成JAあまみ与論事業本部畜産課長)の24年度総会もあり、23年度事業実績・収支決算、24年度事業計画・収支予算などを承認。24年度は低コストで商品性が高い子牛生産体系を確立するため、畜産基盤再編総合整備事業による未・低利用地を活用した飼料基盤造成や家畜管理施設・家畜排せつ物処理施設などの整備を推進していく。