「コミュニケーション力が大事」

「コミュニケーション力が大事」と妻の母校の後輩らにエールを送った廣瀬寛氏=20日、天城町立北中で(提供写真)

トヨタ元監督・野球解説の廣瀬氏
妻の母校・天城町立北中で講話

 【徳之島】1992年のバルセロナ五輪野球日本代表マネジャーやトヨタ自動車硬式野球部監督などを務めた名将・廣瀬寛(ひろせかん)氏(63)=岐阜県出身=が20日、天城町立北中学校(棈松義幸校長、79人)で講話した。これからの社会を生きる上での「コミュニケーション力」の大切さなどを説き、妻の後輩たちにエールを送った。

 廣瀬氏は、岐阜高校時代には甲子園出場も果たした。大学卒業後は社会人野球のトヨタ自動車で捕手として活躍。バルセロナ五輪マネジャーなどを経て、2003~05年にトヨタ自動車監督を務め、05年社会人野球日本選手権ではベスト8に導いた名将の一人。現在トヨタ自動車㈱車両工務部プロフェッショナルパートナー。NHKの甲子園野球解説の第一人者としておなじみだ。

 廣瀬氏にとっての天城町及び北中は、トヨタ自動車で社内結婚した妻早苗(さなえ)さん(59)が同町松原上区出身で母校という縁がある。たびたび里帰りに同行しているが今回、親戚の町役場幹部の配慮で「道徳の時間」を活用し、名将とのふれあい講話が実現した。

 廣瀬氏は、これまで歩んできた野球人生の中で、野球はもちろん、これからの社会を生きる上で特に大切な「コミュニケーション力」について生徒らに説いた。困難をしなやかに乗り越え回復する力「レジリエンス」(回復力・復元力・耐久力・再起力・弾力)についても解説。「これからの多様で予測困難な世の中にあっても、人との対話を大切にし、柔軟に対応して、人生を謳歌(おうか)してほしい」とエールを送った。

 生徒の上岡結香さん(3年)は「『コミュニケーション能力が大事』という言葉が心に残った。私は初対面かどうかにかかわらず、人と話すことが苦手。でも、廣瀬さんの話を聞いて、人と話すことを怖がらず、自分から話し掛けたり、話を聞いたりしたいと思った」と話した。