喜界島が「地質遺産100選」に

喜界島のテーバルバンタから望む眺望。その特徴である5段のサンゴ礁段丘が一望できる(提供写真)

サンゴ礁隆起の地形が世界で評価
日本ジオパーク認定へ弾み

 国際地質科学連合(IUGS)が選定する第2回世界の「地質遺産100選」にサンゴ礁の島・喜界島が認定された。65か国から174の候補地の申請があり、喜界島はサンゴ礁隆起に伴う10万年にわたる島の変遷の歴史が評価された。日本では4か所目で、稀有(けう)な地形・地質が世界に認められた。

 地質遺産は、地質学の重要な研究や発展に貢献し、地球とその歴史を理解する上で国際的に重要な場所を認定している。IUGS設立60周年記念の2022年に第1回の100か所が選ばれ、以降は2年ごとに新たな100か所を選定。第1回には、米国のグランドキャニオンやオーストラリアのエアーズロック、日本では兵庫県の玄武洞と野島断層が選ばれている。

 喜界島は、10万年前にサンゴ礁が隆起してできた島で、5段のサンゴ礁段丘などから大地が形成されている。その地質は過去の環境や地球の成り立ちが分かる貴重な地域で、世界の研究者らが調査に訪れている。また、島の最高位は211㍍で、1年間で2㍉成長している計算になり、その速度は世界で2番目に速い。現在、町はその地質の特徴に再注目し、地形や地質を守り、教育や観光に生かす「日本ジオパーク」の認定を目指している。

 申請は町が許可し、喜界島サンゴ礁科学研究所が昨年7月頃に書類を提出した。審査を経て、日本では長崎県の平成新山とともに内定の吉報が届いた。

 認定報告は17日に行われた町ジオパーク推進協議会の評議会の中で行った。隈崎悦男町長は「認定を受け、大変なことが起こってしまったという認識。選ばれたことを生かし、喜界島の持続可能な産業や教育の中で生かしていきたい」と述べた。

 世界的な地質遺産の認定は、日本ジオパークの認定に向けても大きな弾みになる。同協議会の上地義隆事務局長は「すごい島に住んでいると改めて実感できた。世界に誇れる島を住民や子どもたちに伝えながら、日本ジオパーク認定を目指していきたい」と話した。

 8月27日には韓国の釜山で開かれる国際的地質学会に隈崎町長が出席し、認定地域や専門家が集う会議で喜界島のプレゼンテーションを行う。