大島署上昇率、県内最高

 

24年分最高路線価
昨年から変更の所在地「観光客戻り強い取引」

熊本国税局は1日、2024年分(1月1日時点)路線価を発表した。税務署別最高路線価で鹿児島県内11署の場合、上昇は3署、横ばい2署、下落6署(昨年は上昇1署、横ばい7署、下落3署)で、このうち上昇3署は鹿児島、大島、種子島だが、上昇率でみると4・0%の大島が県内最高だった。大島署は昨年まで7年連続横ばいだったが、昨年から最高路線価の所在地(奄美市名瀬)が飲食店やホテルなどの宿泊施設がある「屋仁川通り」に変更され、周辺商業地域の活発な取引が上昇につながっている。

相続税などの申告の便宜及び課税の公平を図る観点から、国税局(所)では毎年、全国の民有地について、土地等の評価額の基準となる路線価及び評価倍率を定めて公開している。

熊本国税局管内のうち鹿児島県の状況をみると、最高路線価が最も高かったのは、鹿児島市東千石町「天文館電車通り」の92万円(1平方㍍あたり)で、昨年の91万円から1・1%上昇。これに次ぐのが奄美市名瀬入舟町「屋仁川通り」の13万円(同)で、県内2番目の高さ。前年と比較した変動率では、屋仁川通りの上昇率が最高だが、鹿児島税務署によると、12年以降の把握分では大島署の県内最高は今回が初めてという。なお、上昇率が2番目に高かったのは種子島署の「東町通り」(2・5%)だった。

県内の地価動向については、国土交通省発表の地価公示(24年1月1日現在)コメントや不動産鑑定士の意見をまとめている。それによると、県内商業地全体の地価動向は、景気動向、背後地人口の減少、郊外の大型商業施設への顧客流出、商圏の分散化などにより、1992年以降、33年連続の下落だが、下落幅は前年より若干縮小した。奄美市の商業地について鹿児島中央鑑定事務所㈱の木下登・不動産鑑定士は「県内の商業地の中で鹿児島市に次いで活発で、強い取引が出始めている。コロナ禍の影響を受けていた観光客が戻りつつあるのが背景にあり、中でも名瀬入舟町の海側エリア内は店舗・建物の整備が進んでいる」と説明。一方で課題では「末広地区の中心商店街は依然として空き店舗が目立ち、改善されていない」として二極化を挙げた。

住宅地については県内全体の平均は、昨年に比べ下落幅は縮小したが、依然下落(26年連続)のまま。地価が上昇している龍郷町については「奄美市のベッドタウン的要素を持ち、価格水準が奄美市に比べ比較的安価であるため需要が堅調であり、地価は上昇した」とする。