津波災害、自助共助考える

「自助・共助について」をテーマに井村さんが講話した笠利町駐在員会研修会

鹿大・井村准教授講話 総合支所で研修会
笠利町駐在員会

 奄美市笠利地区の区長らで構成する笠利町駐在員会(伊添正人会長)の研修会が2日、同総合支所であった。市の防災アドバイザーで鹿児島大学共通教育センター准教授の井村隆介さんが「自助・共助について」と題し講話。参加者約50人は津波災害などを念頭に、自分の身を守るための「自助」の重要性を学び、地域で助け合う「共助」の在り方を考えた。

 井村さんは、1960年に日本各地や奄美大島沿岸を襲ったチリ地震津波の調査報告や全国の事例などを紹介。一刻を争う津波の場合は、「(自治体などによる)公助が機能しない場合もある。助けを待っていたり、人を助けようとして亡くなったケースも多い。まずは自分を助け、人を助けるということが大事だ」と訴えた。

 津波発生の際は、てんでんばらばらに高台に逃げろという三陸地方の言い伝え「津波てんでこ」を優先することを前提に、「命を懸けて助けに行くことを基本とすることはよくない。他人のために犠牲になることは道徳ではない」と強く主張。共助の在り方については「その時に対応するのではなく、事前に準備しておくことが大切。津波は近いや遠い、夏や冬、昼と夜でも状況は変わる。起こりうることを想像し、一つ一つ地域でクリアしていこう」と呼び掛けた。

 講話の後は質疑もあった。伊添会長は「(人を)助けにいくことは良いことだと思っていたが認識も変わってきた。地域の自主防災組織や計画などで生かしていきたい」と話した。