親子草木染め体験

フクギを煮出した染料液にTシャツをつける親子(14日、奄美市笠利町の田中一村記念美術館)

フクギの葉煮出し 「抹茶みたい」「独特のにおい」
一村美術館

 奄美市笠利町の田中一村記念美術館・屋外管理棟で14日、小中学生と保護者を対象にした「親子草木染め体験」があった。9家族27人が参加。奄美・沖縄地方で防風・防火に使われるフクギ(福木)の葉を煮出した染料液などを用い、Tシャツやトートバッグに個性豊かな染めを施した。気温35度に迫る暑さの中、参加者は額に汗を浮かべながら楽しそうに取り組んでいた。

 指導したのは、同町在住の染色家・植田正輝さん(73)を中心に2021年に設立された一般社団法人Amamiしま作捌繰(さばくり)のメンバーら6人。

 同法人代表の植田美由紀さん(53)が、草木の煮出し、染め、媒染(発色・定着)、仕上げの工程を説明し作業に入った。

 子どもたちは、フクギの枝から葉をちぎり、洗ったものを大きな鍋に入れていく。火が入り、鍋の水がフクギの色素で黄色く変化していくと、「抹茶みたい」「独特のにおいがする」と興味深げに目を向けていた。

 フクギの染料液につけたものはいったん天日干しし、藍の染料を重ねデザインしていった。思い描いた仕上がりにならず悔しがる子どもや、想像以上の出来を自慢する子どもなどさまざまだった。

 朝日小2年の安田珊瑚(ここ)さん(7)は、両親が着ていた藍染めのTシャツに憧れて初めて参加。「木の葉で染める方法を初めて知った。上が黄色で下が白いデザインにした。学童祭があるので着ていきたい」と話した。

 名瀬中1年の武元志緒さん(12)は「泥染めは経験したことがあるが草木染めは初めて。枝や葉で色合いが違うと聞き驚いた。藍でグラデーションを作りたいが、どんな色が出るのか楽しみ」と話した。

 縄文時代から行われてきたという草木染めについて正輝さんは「自然の中の色を取り出して染める伝統の技術。化学染料にはない味わいがある」と魅力を語った。