署名した協定書を手に事業者ら
喜界町は17日、脱炭素社会の実現に向け、エネルギー関連企業や金融機関など民間企業3社と「喜界町地域脱炭素ビジョンに関する連携協定」を結んだ。町地域脱炭素ビジョンに掲げる「喜界島ゼロカーボンアイランド構想」の実現を旗印に、多彩な人材や企業を巻き込みながら官民一体となった島の循環型社会の構築を目指していく。
喜界町は温室効果ガス排出量実質ゼロを2050年までに目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言し、町の取り組むべき方向性や工程を示した「町地域脱炭素ビジョン」を24年4月に策定した。ビジョンでは「エネルギー」「ライフスタイル」「人材育成」の三つを重点分野に、町や産官学が一体となって取り組むべき具体的施策の策定に取り組んでいる。
協定を締結したのは、千代田化工建設㈱(太田光治社長)、三井住友銀行(福留朗裕頭取CEO)、三井住友ファイナンス&リース㈱(橘正喜社長)の3社。協定では、▽再生可能エネルギーの導入・普及への取り組みを通じた地域の活性化及び町民の利便性向上▽地域特性を活用した事業▽脱炭素及び災害レジリエンス(回復する力)強化へのプロジェクトの推進―などの5項目での連携を定めた。3社は、再生可能エネルギーやEVの導入の検討・実証を進めるほか、脱炭素社会への教育活動の施策立案で協力。一自治体だけでの実現は難しいため、町民、各種業界、周辺自治体と協力することも視野に入れる。
町役場コミュニティホールであった締結式では、隈崎悦男町長と3社が協定書に署名した。あいさつで隈崎町長は「エネルギーや生活物資の多くを島外に頼る喜界町は気候変動の悪影響を他の地域より色濃く受ける地域。エネルギー、経済、自然環境、交通など横断的かつ複合的な難題解決に向けて、国内外に幅広いネットワークを持つ3社の知恵は欠かせない」と強調。「喜界島を舞台に、わが国の有人離島に共通するこの難題を少しでも改善する道筋を見つけたい」と述べた。
町地域脱炭素ビジョンは今後、27年度をめどに目標の具体的数値を定めていく。同町総務課の永井昌徳政策調整管理監は「周辺自治体とも相談しながら、離島脱炭素化のモデルになれれば」と期待を込めた。