協定締結後、握手を交わす高岡徳之島町長(右)と小口昭和大学理事長
署名した締結書を掲げる町長ら関係者は歓喜の記念写真に納まった
【東京】徳之島、天城、伊仙、和泊、知名、与論の6町と、病院を運営する公益財団法人慈愛会(鹿児島市)は19日、品川区の昭和大学で地域精神医療の継続発展に向けて、同大学と寄付講座設置に関する協定締結式を行った。今後は3島での精神医学の充実が期待される。
同大の旗の台校舎1号館5階東会議室で開催された協定締結式には、高岡秀規徳之島町長、森田弘光天城町長、大久保明伊仙町長、前登志朗和泊町長、田畑克夫与論町長、村上和代徳之島町総務課長が出席。今井力夫知名町長は急務により欠席。慈愛会からは今村英仁理事長ら3人、昭和大学からは小口勝司理事長、久光正学長ら11人が出席した。それぞれやや緊張した表情で着席し、締結書に署名した。
1965年に地区の精神科医療を担い開設された徳之島病院(徳之島町)だが、高齢化や人材不足、地理的条件から「地域と患者さんに愛される病院」の目標維持が厳しい状況にある。そこで、要請を受けた同大は1日付で徳之島病院を研究拠点とする講座を設置した。期間は2029年3月まで。「鹿児島県地域離島精神医学寄付講座」には、同大の講師以上で外科の専門医ら2人、助教らが3人で約半年間のローテーションに当たる予定だ。精神医療体制の発展や精神疾患領域の研究などを目的にしている。講座費用は6町と慈愛会が全額寄付する。
6町を代表して高岡町長は「各町と慈愛会、大学に感謝したい。沖永良部、与論には出張の診療もできると聞いている。特に家族のためにもお子さんの発達障がいへの対応をご協力いただきたい」とあいさつ。慈愛会の今村理事長は、1月から話があったとの経緯を説明した後、「離島の医療に光が差し込んだ。日本医師会の役員(常任理事)の立場からも、やがて日本の医療のモデルにしたい」と締結に期待を込めた。
また、同大の小口理事長は締結の喜びを口にした上で、「医師の少ない地域、へき地の医療の支援を十分にしていきたい。これを機に精神科以外でも協力していければ」と抱負を述べた。
同大の寄付講座開設は、23年の茨城県(鹿嶋市に循環器内科学分野)に続いて2例目、離島は初めてとなる。