台風3号による海の便の乱れは、マンゴーの島外出荷に影響を与えている(24日夜の名瀬港。同港のみに寄港した定期船)
沖縄県の先島諸島に接近した大型で強い勢力の台風3号により海の便の乱れが続いているが、奄美群島の各港への定期船寄港は、名瀬港以外23日からなく欠航している。農産物ではマンゴーの出荷期で、船舶を利用して島外に出せないため影響が出ているものの現在のところ一部にとどまっており、早期再開が待たれている。
鹿児島と奄美・沖縄を結ぶ航路の運航状況は、マリックスラインによると23日の上り便「クイーンコーラルプラス」が那覇港発後、与論島や沖永良部島、徳之島の各港には寄港せず抜港、奄美大島の名瀬港のみ寄港で鹿児島港へ。24日鹿児島港発の下り便「クイーンコーラルクロス」は欠航、これに伴い26日那覇港発の上り便も欠航となる。26日の鹿児島港発下り便「プラス」は通常運航を予定しており、翌27日から奄美の各港に寄港する見通し。欠航した「クロス」に関しては26日午前10時鹿児島港発の臨時便運航を予定しているが、奄美の各港には寄港せず直接那覇港に向かう。
マルエーフェリーは23日鹿児島港発の下り便「フェリーあけぼの」は名瀬港のみ寄港の折り返しとなり、25日鹿児島港発の下り便「フェリー波之上」は名瀬港のみ寄港、他は抜港し那覇港へ向かう。27日那覇港発の上り便から通常運航となる見通し。
「フェリーあまみ」「フェリーきかい」を運航する奄美海運は、23日の鹿児島港発下り便は通常運航し喜界島の湾港などに寄港したが、24日の下り便から欠航、25、26日も上下便とも欠航となる。
今週に入って抜港もあり定期船の欠航が続いているのが奄美大島以外の各島。船舶を利用して島外出荷している農産物で、出荷できない状況となっているものに高値で取引される高級果実のマンゴーがある。23日から定期船の寄港がない与論島では、町産業課によると果樹農業ではマンゴーは主力品目の位置付けという。昨年度の栽培面積は2・7㌶で15・7㌧の生産があり、生産額4021万7千円となった。生産者は個販(個別販売)で島外に出荷しているが、「収穫時期が2週間程度早まり終了したところも出るなど出荷が進んでいる。今回の欠航による出荷への影響は役場には届いていないが、生産農家を回って把握していきたい」(同課)。
沖永良部島の状況は知名町農林課によると、大規模農家の中には船便が回復するまで鮮度維持へ所有する冷蔵庫で保管するところも。同課は「昨年は欠航が長期化し大きな影響が出たが、今回は昨年のようなことはない。加工品対応する農家もいる」と説明する。
徳之島ではマンゴー生産は天城町が盛ん。町熱帯果樹生産組合によると今期は12㌧の出荷を計画しているが、今回の欠航により1割程度が出荷できない見通しという。「27日の上り便から運航が再開するのではないか。そこまで影響はない。台風の発生で影響が懸念される場合は予約対応をストップするなどしている」(同組合)。
奄美大島と合同で開催されている品評会では常に上位に入るなど高品質のマンゴー生産が行われている喜界島。町農業振興課は「生産者全体でみた場合は現在が出荷の最盛期。欠航で島外出荷できず影響が出ている。水曜、木曜、金曜と欠航が続くが、土曜には再開するのではないか。影響を軽減するためにも早期に運航再開してほしい」としている。