「療育こそ教育の本質」

「療育(特別支援)はあたりまえのこと」と題し講演した相星壮吾氏(21日、瀬戸内町古仁屋)

相星氏、瀬戸内町で講演
全ての子どもに配慮と工夫を

療育の知識を深め、地域による支援体制づくりを目指す瀬戸内町の任意団体「ピンチはチャンス・子育て応援会」(勝ひろみ会長)は21日、療育に関する講演会を同町古仁屋のきゅら島交流館で開催した。名瀬・徳之島保健所長の相星壮吾氏(63)が「療育(特別支援)はあたりまえのこと」と題し講演。子どもたちを分け隔てない、多様性に対応する教育の在り方を伝えた。

会は2022年、町唯一の児童発達支援事業所「ここ園」(同町古仁屋)の運営法人が撤退を表明した際、保護者ら有志により発足。役場との働きかけで別事業者による継続決定後も、講演会の開催など、療育に関するさまざまな啓発活動に取り組んでいる。

講演会には鎌田愛人町長ほか、町内外から保護者や教育関係者、児童ら約100人が参加した。

小児科医として県内の医療機関を歴任した相星氏は「子どもたちの成長の目標」について、「自立した幸せな人生を送ること」と説明。例示を挙げながら、大人が子どもたちの「苦手」を考慮しつつ、さまざまな「経験」を積ませる必要性を解説した。

療育については、「発達の遅れが理由ではなく、苦手の影響を少なくするために行う」とし、「多様性に対応した、合理的配慮と工夫を施す療育こそが保育と教育の本質」と定義。相星氏は「子どもたちの問題を抱え込むことなく専門家の力を借りながら、みんなで一緒に考えましょう」と呼び掛けた。

町立高丘保育所の福田千恵乃所長(62)は「療育は特定の子どもたちだけではない、全ての子どもに必要な考えだと改めて知った。職員同士、保護者とも連携し、保育現場への反映につなげていければ」と話した。