〝熟年就農〟2氏にエール

伊仙町農業支援センター研修生入退所式(左から4人目・芦刈さん、5人目・美山さん)=7月31日、同町役場

神奈川からU・Iターン
伊仙町農業支援センター研修生入退所式

【徳之島】伊仙町の新規就農希望者の研修施設、「同町農業支援センター・青緑の里」(同町伊仙、義山成人所長)の研修生入退所式(町主催)が7月31日、同町役場会議室であった。神奈川県からIターン就農を目指し地場野菜の栽培技術を1年間学んだ修了者と、約40年ぶりUターン〝帰農〟する入所者との熟年世代2氏が祝福と期待のエールを受けた。

同農業支援センターは、町が旧徳之島農業高校施設(伊仙)の一部を再整備し2017年9月に設置。農業研修生募集要項によると、町内に住所を有する18歳以上、町内で農業に従事できる人を対象に1年間研修(日額4500円支給)する。研修後は、経営開始資金事業、経営管理ソフト購入事業(49歳以下対象)などサポートも掲げている。

今年の研修修了・退所者は、延べ5人目となる神奈川県内の元広告代理店関係勤務の芦刈文英(あしかりふみひで)さん(51)=大分県出身。新たな入所者は同町目手久出身で、神奈川県内の元電気機器設計技術者の美山茂さん(61)。式には町や県の関係者含め8人が出席した。

大久保明町長はあいさつで「日本の食料自給率は先進国で圧倒的に低い37%。農業及び自給を考えなければならない時代は必ず来る。そこに新たなビジネスチャンスもあると思う」などとの観測も交え、2人を祝福し期待を寄せた。

それに対し、芦刈さんは「皆さんのおかげで、縁もゆかりもないこの地で約20㌃の畑も借りることができた。研修した野菜類を中心に作付けしたい。1年後は、毎月何らかの野菜が出荷できるよう品目を組み合わせた営農が目標。まずは鹿児島県の平均所得を目指し、次のステップができればと思う」。田舎での就農は夢だったという。

心機一転、生まれ古里に回帰しての就農を目指す美山さんは、「高校卒業で島を離れて約40年。当時に比べて島の農業の姿はガラッと変わっているが、これから1年間、農業で自立できるようマイペースで頑張っていきます」とそれぞれ〝第二の人生〟への抱負を紹介した。

支援センターの義山所長(50)は「全て地元に適した野菜類の栽培技術研修に取り組んでいる」とし、芦刈さんには「台風に始まり台風で終わった1年間だったが、学んだ技術を生かし1年間を通して農作物が作れる専業農家として、伊仙町のためにも頑張ってほしい」、美山さんには「畑を年間2期作・3期作と有効活用。トラクターの運転や消毒、袋詰めの仕方なども学んで頑張ってほしい」と、それぞれエールを送った。