奄美大島と情報共有・連携へ

ロードキルやシロアゴガエル対策も協議。奄美大島・徳之島連携へ対策部会(仮称)提案も=1日、天城町役場

ロードキル、シロアゴ対策部会を提案
奄美群島希少野生生物保護協・徳之島地区

 【徳之島】奄美群島希少野生生物保護対策協議会(会長・川瀬翼県自然保護課長)の2024年度徳之島地区協議が1日、天城町役場であった。関係機関が希少野生生物の保護や外来種、密猟・盗掘防止対策など取り組み状況を共有。環境省は、アマミノクロウサギのロードキル(交通事故死)、徳之島に侵入の特定外来種シロアゴガエルに限定し、奄美大島地区と情報を集約・共有して連携する「対策部会」(仮称)などの設置を提案した。

 主催の県自然保護課や環境省、林野庁、3町行政、オブザーバー(県希少野生動植物保護推進員)など関係者22人が出席した。川瀬会長はあいさつで「新型コロナウイルスの5類移行による来島者増で、希少野生動植物の盗掘・盗採や島外持ち出しも懸念。徳之島ではシロアゴガエルが確認され生態系への影響も懸念される。今後も関係機関が連携、世界自然遺産の価値を将来にわたって維持を」と要請。

 環境省(徳之島管理官事務所)は、昨年徳之島に侵入が確認されたシロアゴガエルについて、「世界自然遺産の核心地域へいつ侵入してもおかしくない。モニタリングでも予断を許さない状況」と強調。確認地区は徳之島町井之川・諸田・亀徳・亀津地区、伊仙町は喜念・面縄地区まで拡大している。

 23年度の生体捕獲数は5010個体、ため池など水場での泡巣の駆除数は3231個。24年度は7月時点で分布確認地点は54地点、対策の必要な水場は54地点に増加。今後「有識者の助言を受けながら対策を継続。行政だけでなく地元NPO団体や近隣住民などが防除に取り組み、対策を進める上で大きな原動力になっている」とも。

 密猟・盗掘防止対策は関係機関との合同パトロール、空港職員向け勉強会なども継続。オブザーバーは、撮影した希少植物の自生地が特定されるGPSデータ付きデジタル画像のSNSなど掲載例を指摘。削除要請の「ネットパトロール」や、盗掘・盗採防止に〝入山・入域届け出制〟の検討も提案した。

 そして、ロードキル対策で同省は、奄美大島・徳之島で事故発生状況などに関する情報を集約・共有し、連携・役割分担などで踏み込んだ論議を行う場、交通事故の要因や対策の効果検証に必要なデータ収集などのための「ロードキル対策部会(仮称)」設置も提案。シロアゴガエルについても「徳之島は拡大防止。奄美大島は侵入防止」観点からの部会や分会設置の必要性も挙げた。

 2日は奄美大島地区協議(会場・奄美市役所会議室)がある。