シロアゴガエル侵入に危機感

シロアゴガエルの侵入防止策などについて意見が交わされた奄美群島野生生物保護対策協議会(2日、奄美市役所)


シロアゴガエルの冷凍標本。体長5~7㌢。上唇の白いラインが特徴

初期段階の対応と連携訴え
希少野生生物保護対策協 奄美大島地区協議

 奄美群島希少野生生物保護対策協議会(会長・川瀬翼県自然保護課長)の2024年度奄美大島地区協議が2日、奄美市名瀬の奄美市役所であった。環境省、県、奄美大島5市町村、民間団体などから約40人が出席。外来種対策や希少動植物の密猟・盗掘、アマミノクロウサギのロードキル(交通事故死)対策について意見を交わした。奄美空港での普及啓発活動も行われ、約30人が野生生物の保護を訴えた。

 同協議会は、奄美群島における希少野生生物の保護に関し、関係機関の調整・協議を行う目的で2006年に発足。会合では、関係機関から23年度の取り組み実績が報告され、24年度計画が示された。

 県は、アマミノクロウサギがくくりわなに誤ってかかる錯誤捕獲防止対策として、猟友会などに向けたマニュアル作りを進める。

 大和村は、ロードキル多発地点の県道79号線にポールコーンを設置し効果の検証を行う。瀬戸内町は、23年度に実施した特定外来生物防除等対策事業を継続する。

 今後の保護対策について環境省は、地方公共団体向けに新たに設けた「外来生物対策管理事業費」など交付金制度を説明。従来から行っていた技術的な支援に加え、財政面からの支援を行っていくことを示した。

 1日に行われた徳之島協議で「生息地が拡大している」と報告されたシロアゴガエルの奄美大島への侵入防止については「初期段階における迅速な対応が極めて重要。行政・民間と連携し対応を講じる」とした。

 行政の担当者からは、沖縄・徳之島からの持ち出し防止策を望む声や、「港湾関係者への周知を図る場を設けてほしい」などとする意見が挙がった。

 県や環境省は徳之島において、生息池への塩素剤散布による化学的防除に加え、(個体や泡巣を取り除く)物理的防除を実施しているが、確認される地点が増加傾向(24年7月現在54地点)にあるとして、25年度に防除実施計画の策定を行う予定。

 奄美群島国立公園管理事務所の広野行男所長は「必死になって防除に取り組んでいるが、思った通りの成果につながっていない。徳之島の拡大防止、奄美大島などへの侵入防止に努めていく」と語った。