財政融資資金を活用し改修工事が行われた奄美市の笠利農村環境改善センター
財務局・財務事務所は、県や市町村など地方公共団体(一部事務組合を含む)が、学校・公営住宅・病院などの建設や上下水道などを整備するために必要とする資金として、財政融資資金の貸し付けを行っている。2023年度の貸し付け状況をみると、奄美群島12市町村には計97億円が貸し付けられ、額が最も多い奄美市は笠利農村環境改善センターの改修事業などに活用した。
財政融資資金は、国債の一種である財投債の発行により国が金融市場から調達し、地方公共団体等が行う事業に活用される資金。同年度の九州財務局管内(熊本、大分、宮崎、鹿児島の4県)の地方公共団体に対する財政融資資金の貸付額は2781億円で、前年度(2711億円)に比べ、70億円の増加となった。
主な増減要因を用途別でみると、前年度に比べ臨時財政対策債(179億円)が210億円の減少となっている一方、過疎対策事業(518億円)が84億円、道路(126億円)が47億円、文教施設(136億円)が35億円の増加となった。貸付額を用途別構成比でみると、国土保全災害復旧が27・2%(757億円)と最も多く、次いで過疎対策事業が18・6%(518億円)、公共事業等が18・2%(506億円)の順となっている。
県別で鹿児島県への貸付額は582億円、前年度比10億円減少した。奄美の市町村別で貸付額の最多は奄美市(24億円)で、次いで瀬戸内町(16億円)、徳之島町(10億円)と続き、他の町村は10億円以下の借り入れとなり、最少は宇検村(3億円)だった。
奄美市財政課によると、借り入れた財政融資資金の活用では笠利農村環境改善センター改修事業の2億2360万円が最も額が大きく、大川小中施設整備事業1億3590万円が続く。笠利町の太陽が丘総合運動公園敷地内にある同センターの改修は、高台に立地するため潮風害により天井に穴が開いて雨漏りしていたことから、屋根の防水工事や外壁(全面)工事などが施された。
瀬戸内町の方は総務課財政係によると、財政融資資金の活用により清水運動公園改修事業1億9千万円(22年度分を含む)、加計呂麻ターミナル施設1億4650万円、池地小中屋内運動場改修1億3520万円(22年度分を含む)などが進められた。
九州財務局では財政融資資金の貸付残高(24年3月末)もまとめている。管内4県合計3兆3025億円で、貸付額が回収額を下回ったことから、前年同月末(3兆3476億円)に比べ451億円の減少となった。なお、貸付残高の鹿児島県計は6655件8109億円。奄美群島12市町村の計は1654件989億円となっている。