参加者たちは納骨堂に献花し405柱のみ霊に手を合わせた(8日、奄美市名瀬の奄美和光園)
入所者との交流を通しハンセン病問題への理解を深めた
奄美市名瀬の国立療養所「奄美和光園」(馬場まゆみ園長)で8日、県主催「親子療養所訪問事業」が行われた。市内から家族連れが参加し、施設内の見学や入所者との交流会を開催。ハンセン病問題に関わる、偏見と差別の解消に向け理解を深めた。
親子療養所訪問はハンセン病問題の普及啓発などを目的に、2002年度から実施。コロナ禍での中止を挟み、5年ぶりに行われた。
参加者は納骨堂で献花後、施設内を見学。朝日小・中学校双葉分校跡、霊安解剖棟跡、地域住民も農作業で参加する菜園などを巡り、施設の歴史と現状を学んだ。
交流会に先立ち馬場園長は「感染病回復者の声を聞くことは貴重な機会。人権問題を身近な課題と捉えて、今後も理解を深めていただければ」とあいさつ。ハンセン病問題の歴史を振り返る動画を視聴後、同園職員を交えて入所者の女性と懇談。女性は「入所した時はさびしかったが、友達と川遊びなどして楽しく過ごした」と振り返り、「職員の方はいい人ばかり。ゲートボールで全国の療養所を回った」などと生活の様子を伝えた。
姉妹で初めて参加した小宿中2年の久保凜果さん(13)は「学校で習っていたが、講話も聞けて勉強になった。学んだことを今後に生かしたい」、小宿小6年の姫果さん(11)は「初めてハンセン病問題を知り差別は恐ろしいと思った。夏休みの作文に書いて友達に伝えたい」と述べた。
和光園は県下2か所目の国立ハンセン病療養所として1943年に開設。7月現在、入所者数11人(平均年齢88・3歳)で、全国13か所の療養所施設では最少。医療機関として1983年から皮膚科の一般診療、2013年から同一般入院を受け付けている。