沖縄版、徳之島版ミュージカルなど計4団体・約120人が共演した「ダイナミック琉球」コラボ=8日夜、天城町防災センター
【徳之島】沖縄県うるま市の中高生らの現代版組踊「肝高(きむたか)の阿麻和利(あまわり)」メンバー一行が6~9日、徳之島で初合宿を行った。同島の小中高生ら「結(ゆい)シアター手舞(てまい)」など4団体とのコラボ共演が8日夜、天城町防災センターであり、歴史・伝統芸能を織り込んだ沖縄版と徳之島版のミュージカル絵巻で観客を魅了した。
「肝高の阿麻和利」(あまわり浪漫の会主宰)は、15世紀の琉球王国時代に勝連城の按司(あじ)=城主=だった阿麻和利の半生を描いた作品で、伝統的な組踊をベースに現代音楽やダンスを織り込んだ沖縄版ミュージカル。1999年に勝連町教育委員会が子どもたちの感動体験、居場所づくりで企画、わずか7人でスタートさせた。その後出演者は約150人に膨れ上がり、奇跡の舞台と称された「勝連城」(世界遺産)をはじめ国内外で公演。先輩から後輩たちへと感動の舞台が引き継がれ、今年は4年ぶりとなる「勝連グスク公演」(11月1~3日)も決定している。
一方、「結シアター手舞」は、「国民文化祭かごしま2015」での「島口ミュージカル結―MUSUBI」公演に向けて天城町内の中高生や青年団で結成。現メンバーは徳之島3町の小学5年生から高校生までの53人に拡大。明治維新の立役者・西郷隆盛の徳之島遠島処分中の島民とのふれあいや、西郷を師と慕い同行先の京都で客死した青年・琉仲祐との絆、愛加那母子(龍郷)との再会と別れなどに伝統芸能を織り交ぜた徳之島版ミュージカルだ。12月は第9回の卒業公演も行う。
合宿交流の縁は、演技・ダンス指導者(脚色家)で共通。これまでは結シアター側が沖縄に数回出向いていたが、今回初めて「肝高の阿麻和利」のリーダー層のメンバー26人が合宿で初来島し、天城町与名間ビーチのバンガローを宿舎に、防災センターで合同練習するなど交流を深めた。
その成果披露も兼ねた公演(無料)は「真夏夕涼み会―元祖!感動の舞台!沖縄県より中高生初上陸」などと銘打ち約250人に公開した。上演2時間半の「肝高の阿麻和利」、2時間の「結シアター」をともに30分間ずつのダイジェスト版にして見せどころを凝縮。島内の「南洲エイサー」と「ゆうなヨサコイ」グループを交えた計4団体・総勢約120人の「ダイナミック琉球」のコラボでも楽しませた。
交流を振り返り、阿麻和利役の福永勇飛也さん(通信制高3年)は「とっても楽しかった。合同稽古でも共に成長できたと思う。楽しみながら、お客様にはインパクトのある演技で印象を残したい」。西郷隆盛役の前田明誠さん(樟南二高3年)は「阿麻和利さんの演技を間近で見ることができて、自分たちにはない良い点を吸収できた。12月の卒業公演に向けてもアドバイスを生かしたい」と目を輝かせた。