集落を練り歩く「振り出し」の参加者たち(10日、宇検村芦検)
婦人会により村指定文化財「芦検稲すり踊り」が奉納された
祭りの活気、掛け声とともに
宇検村
集落の繁栄、五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する宇検村の伝統行事「豊年祭」が10日、芦検、屋鈍、久志集落を皮切りに始まった。芦検集落(前田勝彦区長、131世帯)では午後2時頃、まわし姿の男衆による「振り出し」が列をなし幕開け。地元住民ほか帰省した出身者など大勢の人出でにぎわい、祭りの活気に満ちあふれた。
同集落の振り出しはトネヤから始まり、「殿様」とその前を歩く「露払い」を先頭に男衆や子ども、婦人会など80人余りが列をなした。「ヨイヤー、ヨイヤー」「ワイドー、ワイドー」の掛け声の下、チヂンやほら貝、ハトが鳴り響く中、約50㍍の宮道(みやみち)を渡り、豊年祭が行われる土俵へと練り歩いた。
土俵では前相撲、幼児たちの初土俵入り、満49歳の出身者らによる上がり相撲などあり、芦検婦人会は村指定無形文化財の「芦検稲すり踊り」を奉納。祭りの最後は八月踊りで盛大に締めた。
壽山空さん(23)は露払い役の大役を殿様役の父・新太郎さん(48)と果たし「5年ぶりの参加だったが、伝統の継承に貢献できて安心した」と笑顔。前田区長(70)は「海外など全国から大勢の方が帰省され、誠にうれしくありがたい。土俵周りの掛け声を聞いて感動で涙がにじんだ」と感謝を述べた。
同集落出身で、奄美市名瀬の南薫さん(81)は「豊年祭は島を支える文化の一つ。芦検集落だけでなく、島全体で先祖が残した伝統行事を残してもらえれば」と願いを語った。
宇検村の豊年祭は9月まで、全14集落で行われる。