奄美の家系図調査、まとめて製本化

碇山さんが調査し製本した『繋がりの人々』とその基になった『星の里』


奄美や警察官時代のことなどを振り返りながら、家系図について語る碇山さん

「どこかで必ずつながり」
奄美出身、埼玉県在住の碇山さん

 【東京】奄美出身で埼玉県草加市在住の碇山伊久男さん(68)が、郷土史を基に奄美群島の家系図を調査、『郷土史・繋(つな)がりの人々(ひとびと)』として自ら製本している。「どこかで必ずつながっていますので、よかったら皆さんの家系図を探してほしい」と呼び掛けている。

 上、中、下の3編にわたって製本されている同家系図はA4サイズ。約百十六系図で約約千家の記録が、各約60㌻、延べ約200㌻で著されている。取り組んでいるのは、碇山さんだ。名瀬永田橋にあった雑貨店「碇山商店」で育ち、大島工業高校を卒業後上京、得意の柔道を生かして警察官として第二交通機動隊(警視庁)などで活躍した。上皇陛下の即位式では「白バイ隊員としてベルギー国王を先導しました」と懐かしむ。2008年に退官。そんな碇山さんが、10年ほど前、兄の勝則さんから『郷土史・星の里』という本に自分の先祖らしき家系が示されていると聞く。

 著書を手にした碇山さんは「自分とは何者かと考えてみたとき、その答えを探すには過去を知ることが大事」と早速調査。「この本の系図に、私の名前が碇山二男家八代目碇山伊久男として載っているのを見て、ここでつながなければ一生消えてなくなると思ったのです」と経緯を語る。そして56代代官の碇山仲左衛門を祖先とする碇山姓にたどり着いた。

 また島津家とつながりがあることなどが分かり、興味はさらに広がっていった。「星の里」は、碇山二男家第6代・碇山国栄さんが著者。1978(昭和53)年2月12日付の大島新聞で「地域住民の“ルーツ”追う」と報じられている。「竜郷町91歳の碇山さん」「家系図も160世帯」「郷土誌・星の里を執筆」とのタイトルで写真付き、4段で紹介。

 記事によれば、小さい頃から祖父母からよく先祖のことや家柄のことをよく聞かされていた碇山さんが、80歳になったのを機に調査。大勝尋常小学校の訓導になってからも地域のお年寄りから暇をみては、昔の話を聞きまわっていたとされている。「もっと早く始めればよかった」とした国栄さんの遺志を継ぐように、江戸時代末から現代まで、人々のつながりに迫った伊久男さんは「必ず誰かとつながっています。家族・先祖を大事にして、奄美の歴史についても知ってほしい」と話している。旧盆を機に先祖を調べるのも悪くない。興味がある方は、碇山さんの携帯電話(080・4619・1956)へ連絡を。