お披露目されたアマミノクロウサギミュージアム「くるぐる(QuruGuru)」の銘板(14日)
植樹されたヒサカキとクチナシの葉はエサとして使われる
大和村に建設中のアマミノクロウサギ研究飼育施設の正式名称が「アマミノクロウサギミュージアム くるぐる(QuruGuru)」に決まり14日、施設名とロゴの入った銘板のお披露目式が行われた。2019年から同施設設置検討委員会に携わってきた〝ウサギ博士〟こと山田文雄・沖縄大学客員教授(動物学)を名誉館長に任命。式典には関係者約70人が出席、村内の児童らによる記念植樹も行われた。
施設の名称に採用された「くるぐる」は、奄美の方言で「黒々している」という意味。アマミノクロウサギの体の色を現すとともに、命がぐるぐると過去から未来へつながる自然の営みを表しているという。ロゴに使われた「Q」と「G」は、仲睦まじい親子の丸い後ろ姿からデザインされた。
伊集院幼村長は「施設名は直感的に決めた。奄美大島の自然・生態系を世界に発信する場にしたい。国内外からさまざまな人が訪れるきっかけになり、子どもたちが学ぶ場になってほしい」と期待を表した。
奄美大島や徳之島でアマミノクロウサギの研究を約30年続けている山田教授は「施設はクロウサギを理解する拠点になる。傷病個体を野生に戻す技術の確立につながればとの期待もある。役割・存在を海外にも知らせ、愛される施設になるため尽力したい」と語った。
児童25人による記念植樹もあった。屋外飼育施設のそばに植えられたヒサカキとクチナシの苗は2~3㍍に成長させエサとして使われるという。
大和小4年の重信ひかりさん(10)は「フォレストポリスのナイトツアーで去年10匹、今年は11匹見た。学校にも大学の先生が来て教えてくれる。来年の完成が楽しみ」と話した。
閉式後は同村防災センターで山田教授の講演があり、「〝遺存固有〟の動物の脆弱(ぜいじゃく)性を知り、保全の意味を理解した上で、生態系を基軸とした社会の実現を」とのメッセージが語られた。
同施設は25年4月オープン予定。獣医師1人が常駐し、傷病個体の治療と野生復帰にあたる。包括連携協定を結んでいる東京農工大学の研究者などによる生態研究の場としての役割も果たす。