山田長満氏の古里・後輩思いに感謝

古里・後輩思いの大先輩、山田長満氏(左から3人目)を訪問して感謝を伝えた北中生ら=8日、都内の同氏宅で(提供写真)

天城町北中生 基金活用して英語研修
「挑戦と努力を惜しまないで」

 【徳之島】「先輩ありがとう」――。天城町立北中学校(棈松義幸校長)の3年生5人はこのほど、同校の先輩が母校に贈った「山田長満(おさみつ)世界に飛び立つ北中の翼基金」を運用した第1回英語研修を埼玉県内で実施した。川崎商工会議所12代会頭(名誉会頭)など同地域経済界の重鎮の一人でもある同先輩の自宅(東京都内)も表敬訪問、感謝を伝えた。

 山田長満氏(76)=東京都世田谷区在住=は天城町立岡前小、北中を経て都立新宿高、日本大学商学部、慶応大学大学院商学研究科修士課程を修了後に税理士の道へ。東京地方税理士会常務など要職も務め起業・事業家として手腕を発揮し、川崎商工会議所会頭、日本起業家協会設立者・理事長なども担当。日本ASEAN産業経済交流協会最高顧問など国際交流にも貢献した。35年前に「山田長満奨学会」を設立して人材育成も継続中。2018年に外務大臣表彰、19年に旭日中綬章を受章。

 そして昨年、同氏は「(島を巣立ち)60年が経ったが、東京や川崎では絶えず古里に熱い思いを持っていた。世界遺産になった自然、助け合いのユイの心も非常に美しい」。後輩たちには「大きな夢・希望・勇気をもって挑戦。徳之島から世界に羽ばたく国際人・世界人になってほしい」と期待。岡前小と北中に、英語や簿記教育など振興に期待して各5千万円、町にも公衆用道路など整備費として5千万円の計1億5千万円を寄付した。

 同基金活用の北中の第1回英語研修は、5日から2泊3日の日程で越谷市であった。終了後の翌8日、生徒たちは山田氏宅を訪問し、研修報告と謝辞を述べるなど交流した。

 山田氏は、中学を卒業後すぐに上京して自力で夜間中学、高校を経て日本大学商学部へ進んだこと。その中で英語と簿記の必要性を痛感したこと。努力を惜しまず、常に人のため、ふるさとのためを考えていること。今も自ら英語を学び続けていることなども紹介。生徒たちは同氏の「郷土を愛し、人との縁を大切にし、自分よりも他人を優先して思いやる」姿に深い感銘を受けた。

 研修生の1人・昇優菜さんは「イングリッシュキャンプに参加できたことで、いろいろな子たちと交流しながら英語を学べて楽しかった。前より英語が好きになった。山田さんのお話を聞いて、やっぱり英語はこれからもとても必要になるということが改めて分かった」。そして「『挑戦が大切』という山田さんの言葉から、この貴重な経験を今後に生かし、何事も怖がらずチャレンジしたいと思った」と話した。