特定利用空港・港湾受け入れ

緊急時に自衛隊や海上保安庁の円滑な利用を認める「特定利用空港・港湾」に指定される名瀬港

知事、会見で表明
奄美は徳之島空港、名瀬港、和泊港
「民生利用が優先」

 塩田康一知事の定例会見が23日、県庁であった。防衛力強化の一環で、緊急時に自衛隊や海上保安庁の航空機や船舶の円滑な利用を認める「特定利用空港・港湾」について、知事は指定受け入れ(受諾)を表明した。空港・港湾では奄美群島の徳之島空港、名瀬港、和泊港を含む8空港・港湾が国の候補施設。知事は県の要請に基づき国が地元の市町への説明を行ったことを評価した。

 特定利用空港・港湾で県内の候補施設は奄美の3施設のほか、鹿児島空港、川内港、鹿児島港、志布志港、西之表港。国管理の鹿児島空港を除く県管理は計7施設(1空港、6港湾)で、この数は全国最多という。

 知事は会見で「国から円滑な利用の枠組みについて依頼があり、本日、県管理の7空港・港湾について確認した旨を国に回答した」と発表。特定利用空港・港湾に指定されると、自衛隊や海上保安庁艦船などの円滑な利用に資するよう必要な整備や既存事業の促進が図れる一方、有事の際に武力攻撃を受けるリスクが指摘されている。確認できた点として知事は、▽民生利用が優先で、自衛隊や海上保安庁の優先利用のためのものではない▽関係法令に基づき管理者の権限や運用は変わらない▽自衛隊や海上保安庁専用の施設を整備するものではない▽自衛隊や海上保安庁が各空港・港湾の状況に精通することで災害発生時、迅速に対応できる能力を最大限発揮できる―などを挙げた。

 また、国による地元市町(空港や港湾がある)への説明が行われたことを報告し、知事は「不安や懸念に対する十分・丁寧な情報提供が行われたことを確認した。国の説明終了後の今月上旬、地元の市町と事務レベルの意見交換を行い、いずれの市町も県の考えに異論はないとのことだった」と述べた。万が一、事件事故が発生した場合は、速やかな情報提供や原因究明と再発防止策の徹底も要請したという。

 「特定利用空港・港湾」について政府は、これまで7道県の空港・港湾16施設を指定。受け入れを表明した鹿児島、福井、熊本3県の12施設が追加されると計28施設となる。

 会見ではこのほか、子ども医療費の助成制度について、対象を課税世帯の未就学児まで拡大した新制度運用を来年4月からの開始を目指すとの発表があった。現在、住民税の非課税世帯のみ窓口負担のない「現物給付方式」が導入されている。県は関係団体や県民の要望を受けて対象を広げる方針を決め、今年度当初予算にシステム改修などの経費を計上していた。